脳とこころの医療センター

平成25年度の活動状況と今後の展望

各科単位では、今までと同じように診療を行っている。複数科にまたがる、あるいは複数科で診るべき患者さんの紹介が、より容易となってきた。例えば、脳卒中、特に脳梗塞の診療においては、神経内科、脳神経外科が共同で診るようなシステムができてきている。血栓溶解剤を点滴しながら、血管内治療を行えるようになっている。複数科にまたがるようなむずかしい症例では、2か月に一度臨床検討会を行い、4科の医師、看護師が集まり勉強している。さらに、平成24年4月より、脳とこころの医療センターの中に総合診療外来を設けて、頭痛、てんかん、うつ症状、認知症のように、どこの科を受診するかわからない患者さんの初診を診て、受診するべき診療科を決めるシステムを立ち上げている。その日毎に、4科から医師が出て診療している。自分の症状についてどこの科を受診したら解らない患者さん、一般の開業医さんが、どこの科を紹介したらよいか迷うような症例、希望する科が初診を受け付けていない日に来られた患者さんなどにとって、この総合診療科はかかり易い診察となっている。また診療する側の医師も勉強になるはずである。ちなみに、精神科、脳神経外科は毎日初診を受け付けているが、神経内科は月、水、金のみ。脳神経小児科は、月、水、金であるが予約が必要。このシステムにおいては、受診者が少なく、まだまだ機能しているとはとても言えない。なお、意識の改革、新たな協力体制などの改善努力が必要である。 

従来、大学の附属病院のように大きな病院では各診療科のセクショナリズムが強く、各科の連携をむずかしくしている。このようなセンターは日本で初めてのものであり、その機能が意義あるものになることが試されている。このセンターの存在が広く知られるようになれば、地域の患者さんあるいは地域の医師にとっても、病院の受診、病院への紹介が容易になり、より的確な医療がなされることになる。また、初診を受けつけていない科を受診した患者さんも、一応の診察を受けて帰ることができるというメリットもある。いずれにせよ、敷居の高かった各診療科の壁が少しでも低くなれば、このセンターの存在意義が示されたことになる。  



脳とこころの医療センター長 渡辺高志