内視鏡室
呼吸器内視鏡部門
2013年度の呼吸器内視鏡件数は408件でした。内訳は、肺末梢病変に対する生検(主に仮想内視鏡ナビゲーションを併用した気管支腔内超音波断層法-ガイドシース: VBN併用EBUS-GS)196件、超音波内視鏡下リンパ節生検(EBUS-TBNA)53件、局所麻酔下胸腔鏡9件、内腔観察(蛍光内視鏡、NBIを含む)42件、気管支洗浄45件、気管支肺胞洗浄26件、直視下生検12件、気道異物除去術4件、APC(アルゴンプラズマ凝固)焼灼術5件、その他16件でした。VBN併用EBUS-GSは、2010年度より本格的に導入し、すでに3年間で450件以上の検査をこなしておりますが、80~90%と常に高い診断率を維持しており、かつ重篤な検査合併症も皆無であり、我々が目標に掲げている「苦痛が少なく優れた診断精度を誇る最新の呼吸器内視鏡検査」を実践出来ていると自負しております。
呼吸器内視鏡の役割は非常に大きく、早期肺がんの術前診断のみならず、進行肺がんの治療法を選択する上で必須となる遺伝子変異解析も、診断時の呼吸器内視鏡検査で得られた保存検体で行うことが可能です。出来るだけ1回の内視鏡検査でより多くの検体を採取、保存し、後日いつでも遺伝子の解析を行えるよう、新たな検体保存システムも構築しています。他にも、気管支充填術(EWS)、光線力学的療法(PDT)など最新の内視鏡治療を行うことが可能です。
今年度は透視室の大規模な改修工事が控えており、呼吸器内視鏡検査に特化した最新設備にリニューアル予定です。今後も更にこだわりを持った呼吸器内視鏡診断・治療に努めていきたいと思いますのでよろしくお願い致します。
文責:呼吸器膠原病内科 小谷昌広
消化器内視鏡部門
平成25年度の消化器系内視鏡検査件数は5809件(上部消化管内視鏡3614件、下部消化管内視鏡検査1467件、小腸内視鏡34件、専用機EUS343件、EUS-FNA72件、ERCP276件、腹腔鏡3件)で内視鏡を用いた治療では胃ESD37件・EMR6件、食道ESD21件・EMR3件、大腸EMR228件・ESD7件でした。
1)消化器疾患
消化器内視鏡検査では上部消化管・大腸内視鏡検査が中心となりますが、病変の的確な診断に役立つ超音波内視鏡(内視鏡的超音波下穿刺も含む)、苦痛の少ない経鼻内視鏡、ダブルバルーン式小腸内視鏡・カプセル内視鏡(平成23年5月より導入)を用いた小腸検査も行っています。消化管癌の診断・治療方針決定のために、画像強調・拡大内視鏡を用い詳細な観察を行い、診断精度が向上しています。治療内視鏡では消化器系の癌、前癌病変に対する内視鏡的粘膜切除術、アルゴンプラズマ凝固法などが行われています。早期食道癌・胃癌・大腸癌に対する新しい内視鏡的切除術である内視鏡的粘膜下組織剥離術(endoscopic submucosal dissection; ESD)も積極的に行っており、最近は耳鼻咽喉科と共同して咽頭癌に対するESDも導入しています。合併症予防のため、BISモニター、二酸化炭素送気などを用いています。その他、各種の内視鏡的治療用器具を用いて、胃・食道静脈瘤、消化管出血、消化管・胆道狭窄、消化管悪性腫瘍、消化管内異物などの治療も行っています。
以上、最新の内視鏡診療機器にて質の高い診療サービスを患者様に提供できる状況となっています。さらに、検査前の血圧測定(必要時は検査中も)、検査中の酸素飽和度、脈拍をモニターし、安全・安心な検査ができるようにしています。
2)胆膵疾患
平成25年度の胆膵内視鏡検査件数はERCP276件、EUSおよびEUS関連手技415件で、県内外を問わず、他施設にて診断・治療困難症例を請け負っています。
当院では、切除可能な膵がんを確実に診断することに精力的に取り組んでおり、EUS-FNAと膵液細胞診を併用することによりその正診率を95.9%と、世界でもトップレベルにまで精度を高めております。
また、ERCP関連手技に関しては、胆管・膵管挿管成功率はエキスパートの基準とされる90%以上を保っており、その技術を元に内視鏡的除石術(総胆管結石・膵石)、内視鏡的膵胆道ドレナージ(胆嚢を含む)を実施し、EUS関連手技に関しては、EUSガイド下生検(EUS-FNA)はもちろんのこと、EUSガイド下嚢胞ドレナージ(EUS-CD、胆道ドレナージ(EUS-BD)、腹腔神経叢融解術(EUS-CPN)等も実施するなど、胆膵内視鏡関連の全ての手技を患者さんに還元できるようにしています。
文責:消化器内科 八島一夫、松本和也