胸部外科診療科群は胸部外科と乳腺内分泌外科を共同診療しています。現在のスタッフは2名の大学院生を含めて合計12名で、手術部やHICUなど各部署での仕事を兼ねながら、日常診療をしています。胸部外科診療を中心に行っているのは9名です。診療活動は毎朝7時45分の始動を原則としており、曜日毎に抄読会、手術手技検討会、肺がんカンファレンス、術前検討会、術後検討会を行っていますが、これも胸部外科診療科群として合同で行っています。胸部外科の平成25年度の手術件数は別表のとおりで、合計243件（前年度比+25件）でした。手術件数は手術枠による制限のある中で、キャンセル待ちや時間外手術などの工夫をしながら増加させています。胸腔鏡手術も191件（前年比+10件）で増加しました。肺悪性腫瘍は原発性肺癌107件、転移性肺腫瘍21件と、併せて128件で、手術の半数以上を占めており、われわれが最も力を入れている領域です。胸腔鏡手術は肺悪性腫瘍の約80%に適応されており、われわれの得意手技となっています。ダ・ヴィンチによるロボット支援手術は保険適応がありませんので、費用の関係もあり、平成25年度は14例（肺癌7例、胸腺疾患7例）（前年比+4件）で、微増でした。しかし、当院は呼吸器外科領域では国内最多の経験症例で、他施設から症例見学が多く、引き続き安全なロボット手術手技の確立に努めていきたいと思います。　　　

主として入院患者に使用されるクリティカルパスは医療の標準化と効率化のために必須のツールであり、約80%の患者さんに適用されており、診療ガイドラインに沿った治療に努めています。他科との診療体制では呼吸器内科、放射線科と毎週行う肺がんカンファレンスで治療方針を確認し、緊密な連携を取っています。　また、月1回行う胸部疾患カンファレンスでは問題症例を検討し、治療経過の確認を行っています。地域連携では西部医師会と合同の胸部X線勉強会を継続しています。平成23年度から導入が始まった医療機関における肺がん検診も3年目を迎えて順調に推移し、肺がん検診の普及と精度向上に努めています。しかしながら一方で、肺がん地域連携パスの運用は平成25年度もまだ期待通りには進んでおらず、今後さらに地域との交流を活性化させるように工夫が必要であると考えています。引き続きわれわれの行っているハイレベルの呼吸器外科医療を内外に向けて発信して行きたいと思います。

 (文責：胸部外科科長　中村 廣繁)

表　平成２５年度（平成２５年４月～平成２６年３月）手術患者