総合診療外来
総合診療外来は、平成25年9月から週2回(火曜日、金曜日)外来枠となり、地域医療学講座スタッフが担当している。総合診療外来では、初診患者で専門別診療科へ振り分けが難しい症候の患者、他院から紹介を受けた患者を、おもに診療している。平均すると初診患者は2ー3人程度であるが、症例は複雑なものが多い。半年間の診療内訳は、不明熱、感染症、癌、整形疾患、精神疾患など多岐にわたる。とくに頻度の高い、感染症、精神関連疾患については、入院病床を持たない総合診療外来のため、外来で可能な範囲で診察検査を行い、該当診療科へ速やかに紹介できるように心がけている。ダニ咬傷、癌の脊椎転移による歩行障害、頸部痛を主訴とした解離性大動脈瘤など、印象に残る症例は多い。総じて、メンタルな問題をかかえた患者の割合が多いが、精神科を受診させる前に、患者の不安の原因となっている背景をよく聞くことで安心される場合もある。大学病院における総合診療は、症状からただちに診断を特定できない事例を適切に専門科へ誘導する役割がある。さらに、総合診療外来を受診される患者に接して感じるのは、「自分の苦しみをわかってほしいという願い」である。総合診療外来では、まずその訴えに向き合い、適切な方策を探るという総合診療本来の姿勢を大切にしていきたいと考えている。
地域医療学講座 教授 谷口晋一