胸部外科

胸部外科の現在のスタッフは2名の大学院生を含めて9名で、手術部やHICUなど各部署での仕事を兼ねながら、日常診療をしています。診療活動は毎朝745分の始動を原則としており、曜日毎に抄読会、手術手技検討会、肺がんカンファレンス、術前検討会、術後検討会を行っています。平成24年度の手術件数は別表のとおりで、合計218件(前年度比+2件)でした。手術件数は昨年度からほぼプラトーになってきています。胸腔鏡手術は181件(前年比+23件)でした。今年度は特に肺悪性腫瘍が多く、原発性肺癌109件、転移性肺腫瘍26件、併せて135件で、過去最高でした。その中で胸腔鏡手術の適応例が多かったようです。手術支援ロボット(ダ・ヴィンチ)による手術は保険適応がありませんので、費用の関係もあり、平成24年度は10例(肺癌5例、胸腺疾患5例)(前年比-8件)と減少しました。しかし、当院は呼吸器外科領域では国内最多の経験症例で、他施設から症例見学が多く、引き続き安全なロボット手術手技の確立に努めていきたいと思います。主として入院患者に使用されるクリティカルパスは医療の標準化と効率化のために必須のツールであり、約80%の患者さんに適用されており、診療ガイドラインに沿った治療に努めています。他科との診療体制では呼吸器内科、放射線科と毎週行う肺がんカンファレンスで治療方針を確認し、緊密な連携を取っています。また、月1回行う胸部疾患カンファレンスでは問題症例を検討し、治療経過の確認を行っています。地域連携では西部医師会と合同の胸部X線勉強会を継続しています。平成23年度から導入が始まった医療機関における肺がん検診も2年目を迎えて順調に推移し、肺がん検診の普及と精度向上に努めています。しかしながら一方で、肺がん地域連携パスの運用は平成24年度も期待通りには進んでおらず、今後さらに地域との交流を活性化させるように工夫が必要であると考えています。引き続きわれわれの行っているハイレベルの呼吸器外科医療を内外に向けて発信して行きたいと思います。

   (中村 廣繁)


 

表 平成24年度(平成24年4月~平成25年3月)手術患者

疾患名

手術患者数

原発性肺癌

109(92)

転移性肺腫瘍

26(24)

良性肺疾患

6(5)

自然気胸

25(25)

膿胸・胸膜炎

5(5)

縦隔疾患

19(15)

胸膜中皮腫

2(1)

胸膜腫瘍

1(0)

胸壁疾患

5(2)

胸部外傷

4(2)

手掌多汗症

8(8)

横隔膜疾患

1(1)

その他

7(1)

218(181)

(  )は胸腔鏡手術