医療福祉支援センター
医療福祉支援センターは患者さんやご家族に対して、安心して医療をお受けいただけるよう万全の医療サービスを提供することを使命としています。職員は迅速、信頼、思いやりをモットーとして仕事に従事しています。業務内容は多岐にわたりますが、主として患者さんの外来診療、入院治療、退院支援、在宅医療、医療福祉相談に関する業務を行い、他の医療機関や介護・福祉施設と連携を計っています。また、鳥取県西部地区の医療連携の拠点として、最近は地域連携ネットワークや地域連携パスを積極的に活用していることが特色です。現在当センターが重点を入れている業務内容は以下のとおりです
1. FAXによる外来診療予約
2. セカンドオピニオン外来の受付
3. 医療費助成制度案内
4. 入院前のオリエンテーション
5. 退院支援
6. マルトリートメント業務
7. 地域医療連携パス
8. ロシア(ウラジオストック)ネブロン医療センターとの交流
9. 鳥取県西部地域の医療連携
医療福祉支援センターに各診療科や病棟から医療連携や医療福祉制度の相談などで平成24年度紹介いただいた件数は減少し、2278件でした。病棟・外来看護師のマネジメント力が向上し、独自にケアマネージャと調整する機会が増えていることが原因の一つと考えています。
医療福祉支援センターの業務内容の詳細と平成24年度の実績を以下に示します。
1.FAXによる外来診療予約
病院、開業の先生方から診療科への診察依頼やCT, MRI, RI, PETなどの検査依頼をFAX予約で受付しています。FAX予約された患者さんは診察や検査が予約時間内にスムーズに実施ができるように支援しています。FAX予約件数は表に示すように年次的に急激な増加を示しており、平成24年度は8,741件でした。土曜日もFAX予約を受け付けており、増加傾向が続いています。
年 度 |
H16年度 |
H17年度 |
H18年度 |
H19年度 |
H20年度 |
H21年度 |
H22年度 |
H23年度 |
H24年度 |
FAX予約件数 |
1,480 |
2,122 |
3,162 |
4,195 |
5,170 |
5,994 |
6,991 |
7,943 |
8,741 |
病院全体の書面による紹介患者数に対するFAX予約件数の推移をみると、年々増加しており、平成24年度は72.6%でした。近年はFAX予約の重要度が増していることがよくわかります。
2.セカンドオピニオン外来の予約受付業務
かかりつけ医や2次医療圏以外の施設からも当院で行っている特色的な専門診療を受けていただくために、FAXまたは郵送でセカンドオピニオン外来の予約を受付しています。平成24年度は過去最高で51件でした。
3.医療費助成制度案内
医療福祉支援センターでは患者さんが利用できる医療福祉制度の相談を受付けています。経済面では、公費負担医療、身体障害者福祉制度、障害年金、高額療養等、各種制度の紹介と手続の案内を行います。また、結核医療、更生医療、育成医療、精神障害者通院医療、養育医療、特定疾患、小児慢性特定疾患、生活保護等の公費負担医療の事務業務も行なっています。相談件数は年々増加しています。
4.入院前オリエンテーション
入院が決定した患者さんに対して、外来で医療福祉支援センター内のブースにきていただき、入院オリエンテーションを行っています。入院パスを提示して、入院後の治療、退院に向けた支援体制を説明しています。また、同時に入院に関わる保証や費用の相談も受けています。入院パスの使用増加とともに入院オリエンテーションの重要性が増しています。
5.退院支援
入院における急性期治療が順調に経過し、一段落した患者さんに主治医からの要請により、転院調整や在宅支援を行っています。転院調整は一般病院、回復期リハビリテーション病院、療養型病院などへの転院を希望される患者さんに対して病院の紹介や確保を行います。在宅支援は介護や医療処置を必要とする患者さん、癌末期の患者さん、認知症、運動機能障害や重度身体障害を有する患者さんなど、退院後に在宅での医療支援を望まれる患者さんに対して、地域の訪問看護ステーションや医療機関と協力して支援を行っています。現在は病棟から医療福祉支援センターへ電子カルテを用いて依頼する体制が整っています。退院支援患者数は平成24年度転院調整554件、在宅支援412件と若干減少しました。
退院支援のために行われた地域の医療施設とのカンファレンス(打ち合わせ)数と患者さんとの面談数(延べ数)は前年度とほぼ同数で、平成24年度のカンファレンス数は362件、面談数は3828件でした。
平成24年度に急性期病棟退院調整加算が取れた件数は242件、介護支援連携算定件数は32件でした。
6.マルトリートメント業務
児童虐待、家庭内暴力(DV)などに対して医療支援を行っています。特に小児科、脳神経内科の協力のもと、マルトリートメントを疑う事例については院内外での連絡体制を整え、緊急対応もできるようにしています。近年は減少傾向で、平成24年度の対応数は7件で前年と比較して4件減少しました。
7.地域医療連携パス
これまで大腿骨頸部骨折と脳卒中に関して、西部地区の医療機関や回復期リハビリテーション施設と協力して地域連携パスを運用してきました。4ヶ月に1回の定期的カンファレンスも行い、問題点を共有しています。胃がん、大腸がん、肝がん、肺がん、乳がんの5大がんに対するがん診療においても地域連携パスが作成され、運用となりました。かかりつけの開業医との間で連携パスの活用が期待されます。平成24年度は大腿骨頸部骨折の連携パスが4件、脳卒中連携パスが134件、がん診療連携パスが16件(胃がん7件、肺がん5件、大腸がん3件、乳がん1件)使用されました。
8.ロシア(ウラジオストック)ネブロン医療センターとの交流
ロシア極東のウラジオストックにあるネブロン医療センターからの患者を受け入れています。平成24年6月の第1例目の紹介以降、平成25年3月までに14名の紹介を受けました。相談内容は多岐にわたり、受け入れ困難な場合でも誠実な対応を心がけています。
9.鳥取県西部地域の医療連携
鳥取大学医学部附属病院医療福祉支援センター、鳥取県福祉保健局、鳥取県西部医師会の3者が協力し、鳥取県西部地区医療連携協議会を結成し、患者さんのニーズにあった医療提供を目指しています。平成24年度は平成25年2月28日に“患者さんと家族が主役の在宅医療を目指して“というテーマで、シンポジウムを行い、活発な議論を行いました。また、ITを活用した医療連携のモデルケースとして、「西伯病院、錦海リハビリテーション病院との電子カルテ相互参照システム(おしどりネット)」の運用を行い、患者情報の共有を行っています。おしどりネットでは毎月1回定期的な会合を行っていますが、平成24年度に“おしどりネット2”として本システムをさらに広域に発展させるように進めています。おしどりネットは患者情報の一元管理によりスムーズな病/病、病/診連携を促進しており、鳥取県西部地区の医療連携を担う重要なツールになっています。
(センター長 中村廣繁)