看護部

2012年の診療報酬改定で裏付けられるように医療サービスと介護サービスを切れ目なく提供するため病院と患者受け入れ先のつなぎ目を強固にし、地域全体でそして多職種からなるチームで患者の生活を支える仕組みをつくること。これが医療界・看護界の最重要課題であると考え豊富な資源のある大学病院の強みを生かし、多くの人材と技術、知識を駆使して日常生活機能、社会生活の維持、心の安定などバランスよく保てることを視点においた。「治す」だけでなく「支える」医療への変換、他職種協働のチーム医療の拡大、地域への貢献・地域密着の看護へと大きく変化を目指しテーマを「豊かな資源を活用した急性期看護:バランスのあるケア提供」と掲げ以下の2つの重点目標として取り組んだ。

  •  目標1 豊かな資源を活用した退院支援ができる

    看護を退院後の療養生活を過ごされるにあたり院内の医療チーム、医師、薬剤師、理学療法士、管理栄養士など他職種のリソースを活かし患者・家族、個々にあった生活指導、退院指導を強化した。看護サービス委員会ではその指導に必要となる退院指導パンフレットを作成し院内ホームページへアップし効率的活用を推進した。

    その結果、入院患者満足度調査の退院支援に関する満足度の割合が83%と平成23年度に比較し8%の上昇を図ることができた。さらなる質の高い退院支援を目指し入退院促進システム導入の準備中である。

  • 目標2 専門領域における卓越したジェネラリストの育成

    看護は医学的根拠を理解した上での専門的看護の実践であるため、学習する組織つくりが重要である。そのため、病態に関する知識、アセスメント能力、エビデンスに基づいた確実な看護技術を習得し、「バランスのあるケア」が実践できる卓越したジェネラリストを育成することが必要である。

    そこで、平成24年度は、臨床における専門領域のジェネラリストとして看護師長をはじめとする副看護師長、看護師の育成、そして専門・認定看護師で代表されるスペシャリストをバランスよく育成していくことを目標として取り組んだ。

    各部署が院内外の枠を越えたリソースを活用し、各専門的看護の知識・技術を習得した看護師365名を育成できた。育成者による各部署の専門的看護実践率は82%であった。専門的看護実践による満足度は、看護師満足度96%、医師満足度83%であり、平成21年度の急性期看護の実践による満足度と比較し、看護師満足度22%、医師満足度33%の上昇が見られた。 

平成24年度の主な取り組み

 平成23年度から導入した新教育体制を新人・指導者・医師の評価結果から再構築した。平成24年度はローテーションを7月から11月の5か月間とした。また、手術室のローテーションを行うことで、経験する機会が少なかった女性持続導尿、挿管介助を全員が経験することができ、基本看護技術の到達率100%を達成できた。

新人教育において、社会人基礎力の育成に取り組み、新人看護師の約90%が社会人基礎力をほぼ習得でき、自己の課題解決に向け努力できた。

また、ティーチングナース6名を8名に増員し、各フロアーに配置したことで、現場で直接的に指導する機会が増え、新人の高い満足度を得られ、指導者の負担軽減にも繋がった。

1.新教育体制の再構築

 平成23年度から導入した新教育体制を新人・指導者・医師の評価結果から再構築した。平成24年度はローテーションを7月から11月の5か月間とした。また、手術室のローテーションを行うことで、経験する機会が少なかった女性持続導尿、挿管介助を全員が経験することができ、基本看護技術の到達率100%を達成できた。

新人教育において、社会人基礎力の育成に取り組み、新人看護師の約90%が社会人基礎力をほぼ習得でき、自己の課題解決に向け努力できた。

また、ティーチングナース6名を8名に増員し、各フロアーに配置したことで、現場で直接的に指導する機会が増え、新人の高い満足度を得られ、指導者の負担軽減にも繋がった。

2.継続教育

院内研修は151回開催し、新人研修は24回開催した。特に、教育指導者育成研修、リーダー育成研修、副看護師長育成研修に力を入れた。看護研究業績は77演題(昨年度93演題)をまとめ、院内発表28演題、院外発表49演題であった。院外研修・学会の参加は総数1,030人で昨年度の857人より173人増加している。また、病院インセンティブ経費により312名が出張扱いで研修、学会に参加できた。

3.看護の実践モデルとして質の高い看護サービスを提供する認定看護師

平成24年度、新たに、がん専門看護師1名、新生児集中ケア認定看護師1名が日本看護協会の認定を受けた。現在、がん専門看護師(2名)、糖尿病看護、感染管理、皮膚・排泄ケア(2名)、不妊症看護、新生児集中ケア(2名)、救急看護、手術看護、疼痛緩和、緩和ケア(2名)の合計14名の専門・認定看護師が活躍している。 

専門・認定看護師は臨床における実践モデルとして質の高い看護サービスを提供し、院内だけでなく、地域の看護職員へも研修会を通して専門的な知識・技術を指導し、地域の看護のレベルアップに貢献している。

また、専門・認定看護師が行う看護専門外来として、フットケア外来、不妊看護相談外来、助産外来、スキンケア外来、傷とケアの専門外来、術前外来を開設し、専門性の高い看護を提供している。

4.パートナーシップナーシングシステムの推進

平成23年8月に福井大学医学部付属病院から学んだパートナーシップナーシングシステムを全セクションに導入する取り組みを実施した。

パートナーシップナーシングシステムを本院の看護体制である固定チームナーシング継続受け持ち制へ導入しTPNS(とりりんパートナーシップナーシングシステム)として「固定チームナーシング継続受け持ち制においてスタッフ間が対等な関係で特性を活かし相互に補完しあい日々の業務を効率的に遂行しかつマイナースシステムを保障するシステムをいう」と定義した。TPNSマニュアルを成文化し16部署に導入した。

5.看護部避難訓練

消防法に基づく避難訓練を2回/年病棟を中心に実施しているが、スタッフの火災への心得は希薄でありいつ、いかなる状況で火災が発生しても的確かつ冷静沈着に行動ができるように毎月、避難訓練実施セクション、評価セクションを決め実施した。その成果として手術室で火災が発生した際に的確な行動で対処することができた。 

6.働きやすい職場づくり

 日本看護協会の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン「夜勤・2交代制勤務における勤務編成基準」に基づき、当院看護部で看護労働のシフトワーク改善のために取り入れられる項目を「勤務間隔時間は最低11時間以上あける」「連続勤務回数5日以内」「交代の方向性は正循環の交代周期とする」「早出の始業時刻は7時以前にしない」と決めた。師長はスタッフの勤務負担軽減となるよう勤務スケジュールを管理している。その他多くの取り組みの結果、離職率は6.4%と減少した。

7.低侵襲外科センター設置

低侵襲外科センター手術室増設にあたって、そのコンセプトである「心にも、身体にもやさしい手術室」を具現化するために構想計画の立案に参画し、看護師の立場から様々な提案を行い、他施設では見られないようなユニークで安らぎのある手術室を完成させることができた。また低侵襲外科センターにおける安全でスムーズな手術を提供するためのシステムを構築した。

8.RSTリンクナース会立ち上げ

RST(呼吸療法サポートチーム)の活動の支援と、呼吸器看護の質の向上を目指してRSTリンクナース会を立ち上げ活動した。酸素療法マニュアルを完成させ、各部署の酸素療法物品の把握と管理方法の統一化を図った。