すい臓がんのサインを見逃さないために
小さいすい臓がんを見つけることは難しい
我が国では、2人に1人は何らかのがんにかかり、3人に1人ががんで亡くなる時代になっています。しかし、がんは決して治らない病気ではなく、発見が早ければ完治する病気です。日本人に多い胃がんは、検診や検査の体制も整い、発症後も元気を回復される方が増えています。
一方で、難治がんといわれるのがすい臓がんです。すい臓はおなかの深いところにあり、他の臓器や血管に囲まれているため、腫瘍を見つけることや診断のために細胞を取ることが困難とされています。
周辺にある動脈にすい臓がんが拡がると、がんの大きさが小さくても手術が行えないことが多々あります。これが、すい臓がん全体の7割は手術で治すことができないこと、がんによる臓器別の死亡数で第4位と不良であることの理由です。
すい臓がんは、小さく見つければ根治する確率が上がる
日本の2万人を超えるすい臓がん患者さんのデータによると、すい臓がん全体の5年生存率(がんの治療を開始してから5年後に生存している人の割合)は13%と非常に不良ですが、10mm~20mmの大きさで見つけた場合は50%、10mm以下の大きさで見つけることができれば、80%以上に改善することが分かっています。
しかし、その発見率は、10mm~20mmの大きさで全体の5%、10mm以下に至っては0.8%にすぎません。
患者さんが発するサインを見逃さない
すい臓がんの症状として、腹痛、食欲不振、腹部膨満感(おなかの“はり”)、体重減少、黄疸、糖尿病の発症・増悪、背中の痛みなどが挙げられます。
一般的に、初期には無症状なことが多いと思われていますが、20mm以下のすい臓がん患者さんの80%以上は、上記のうちの何らかの症状を認めることが明らかになっています。
すなわち、上記症状で病院を受診したすい臓がんの患者さんが、不十分な検査で「異常なし」と診断されたために、発見が遅れて手術できない状況となってしまうことが、少なからずあるのです。
鳥取大学は、小さなすい臓がんも捕まえます!
鳥取大学胆膵グループは、2011年~2015年の間に107例のすい臓がん患者さんを診療していますが、診断法を工夫することで、全ての患者さんのすい臓がんを画像で捉えることに成功しています。
その内訳として、10~20mmの大きさが16名(15%)、10mm以下が3名(2.8%)と、全国的な集計よりも高い頻度で小さなすい臓がんを見つけています。我々が同定に成功した最も小さなすい臓がんの大きさは0.2mmです。
0.2mmの大きさの膵臓癌発見に成功しました
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