発作性心房細動に対する治療~冷凍アブレーション~
心房細動とは?
心臓は心筋内で発生する電気信号によって規則正しく収縮し、結果、全身に血液を循環させるポンプの役割を有します。
心房細動は不整脈の一つで、何らかの原因で心臓の電気信号に異常をきたすと、心房(心臓の上の部屋)が小刻みに震え、不規則に収縮してしまいます。
これが心房細動で、心房のポンプ機能がなくなると血流が滞り、心房内に脳血栓が生じ、脳塞栓を引きおこすこともある注意が必要な不整脈です(図1)。
図1:正常な脈と心房細動の違いのイメージ
心房細動の新しい治療(冷凍アブレーションシステム)とは?
発作性心房細動治療法としては、根治を目的とする心筋焼灼術(アブレーション)が知られています。これは心房細動の発生起源である肺静脈入口部に電気的な絶縁部(隔離)を形成する方法で、従来は高周波電流(RFA)で点状あるいは線状で心筋を焼灼することで電気刺激の回路を遮断していました(図2左)。
一方、冷凍アブレーション(CBA)はバルーン形状のアブレーションカテーテルにより円周状に心筋を冷凍し電気的隔離を形成する(図2右、図3)ため,手技時間の短縮や治療効果の均一化が期待されます。
また、従来の高周波電流を用いた焼灼術と比較し、血栓形成リスクの低さ等の合併症発生の軽減につながると期待されています。
図2:アブレーション法の違い。 左:高周波(RFA)法、右:冷凍凝固(CBA)法
Kuck KH, et al. N Eng J Med 2016; 374: 2235-2245
図3:経皮的カテーテル心筋冷凍焼灼術の方法 提供 /日本メドトロニック株式会社
当院の取り組み
鳥取大学医学部附属病院では、2016年3月より、この冷凍アブレーションを導入し、同年9月までの半年間で100名の発作性心房細動の患者さんに冷凍アブレーション治療を行ってまいりました。同方法は従来の高周波電流による点状焼灼を重ねる肺静脈隔離術とは異なり、手技が簡便で手術時間の短縮(RFA:3-4時間、CBA:1-2時間)が可能で、術後の負担も軽いため従来のRFAよりも入院期間が短縮し、「治療を受けてすぐに元気なれた。もう少し早く受けていればよかった」という声が多く聞かれ、我々の励みとなっています。
冷凍アブレーション治療は、さらなる器具の改良とともに、今後も多くの患者さんにより安全で質の高い治療がようになってきています。今後も当院では患者さんに優しく有益な治療を行っていきたいと思います。
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