歯科口腔外科 概要

 

2022集合写真

診療内容

対応疾患
顎・口腔外科疾患

腫瘍(良性腫瘍、癌など)、先天異常(口唇口蓋裂など)、嚢胞(歯根嚢胞や顎嚢胞など)、炎症(歯や顎骨、頬部、頸部など)、外傷と骨折(歯や顎骨、口腔・顔面など)、顎変形症(歯列不正や顎の変形・非対称)、顎関節疾患(顎の痛み、開口障害など)、口腔粘膜疾患(口内炎、白板症など)、唾液腺疾患(口腔乾燥、唾石症など)、神経疾患(神経痛、神経麻痺など)、血液疾患(白血病、血友病など)、睡眠時無呼吸症候群など

診療例

  1. 顎口腔領域に発症する良性・悪性腫瘍の手術・治療
  2. 顎顔面領域の先天異常の手術治療
  3. 顎嚢胞を始めとする口腔内に発症する嚢胞性疾患(袋状の病気)の手術治療
  4. 顎骨骨折や歯牙脱臼など顎顔面外傷に対する治療・手術
  5. 下顎前突症(受け口)など顎変形症に対する顎矯正手術
  6. 難治性口内炎や白板症、扁平苔癬など口腔粘膜疾患の治療
  7. 顎関節症など顎関節疾患の治療
  8. 親知らず(智歯)や埋伏過剰歯などの難抜歯手術やモニタリングを要する有病者の歯科治療
  9. 舌痛症や三叉神経痛などの神経疾患に対する治療
  10. 口腔乾燥症(ドライマウス)やブラキシズム(歯ぎしり)に対する治療
  11. 顎顔面欠損部におけるインプラント治療
一般歯科診療

有病者の歯科疾患(血液・心疾患などの基礎疾患を有する方)のウ蝕、歯周病などの疾患に対応しています。

各種専門外来
口腔腫瘍外来

口腔癌(舌、上顎、下顎、口底、頬、口蓋、口唇)
治療成績の向上、機能温存を目的に、放射線治療科・腫瘍内科・形成外科と集学的治療を行っています。

良性腫瘍(エナメル上皮腫、角化嚢胞性歯原性腫瘍など)
多くは周囲組織を温存しつつ、腫瘍のみの切除で根治が望めるため、基本的に手術療法を行っています。

口唇口蓋裂外来

  口唇裂と顎裂の合併を唇顎裂、顎裂と口蓋裂の合併を顎口蓋裂、口唇裂、顎裂さらに口蓋裂の合併を唇顎口蓋裂と呼び、発生する頻度は、日本人では約500人に1人の割合です。
当科では日本口蓋裂学会 口唇裂・口蓋裂認定師(口腔外科分野)の医師を中心に手術、言語治療ならびに顎矯正の一貫治療を行っています。

顎矯正外来

顎変形症は上下顎骨の相対的あるいは絶対的アンバランスにより、開咬や前突だけでなく、時に顎関節症を併発し顔面の機能的・審美的な障害を引き起こす疾患です。治療には口腔外科、矯正歯科、補綴歯科などからなる集学的治療が要求されます。
当科では術前、術後の矯正治療ならびに下顎枝矢状分割術、下顎枝垂直骨切り術、上顎骨骨切り術を行っています。
(矯正は岡山大学歯学部矯正指導医2名の下で一般矯正、顎矯正を行っています。)

顎顔面インプラント外来

歯牙欠損に対し人工歯根の顎骨内埋入による咬合再建を行い、難症例には上顎洞挙上術(サイナスリフト)や骨移植を行っています。
顎骨再建後の移植骨へインプラントを応用し、咀嚼や構音機能、顔貌の審美性の回復を行っています。

顎顔面補綴外来

顎顔面領域の腫瘍、外傷、先天奇形などによる顎顔面欠損に対し、再建手術の適応外や手術を希望しない症例に対し顎義歯やエピテーゼを用いて機能的および審美的に修復しています。

顎顔面外傷外来

交通事故などによる顎顔面の骨折や損傷に対し咬合、咀嚼機能および審美性の回復を行っています。

顎関節外来

消炎鎮痛薬や筋弛緩薬を主にした薬物療法、各種のスプリントによる保存療法を主体に治療を行っています。また適応に応じて、パンピングマニピュレーションやマイオモニターや開口訓練等のリハビリを継続的に行っています。

睡眠時無呼吸障害外来

当科では内科、耳鼻咽喉科、その他多くの科の協力を得て口腔内装置による治療を中心に治療を行っています。口腔内装置は下顎を前突させ上気道を拡大し、さらに舌筋の活性化によって上気道の解放を維持し、無呼吸の発生を防止します。

口腔ケア外来

口腔ケアは単に口腔内の保清や歯周疾患の治療を通じて様々な二次感染症(誤嚥性肺炎など)の発症予防に寄与するだけでなく、認知症や脳に重篤な器質的疾患を有する患者さんにとっては、回復を促す積極的な外的刺激因子となりうることが広く理解されています。鳥取大学入院中の患者さんの口腔内のケアを行っています。

診療科の特色

当科は歯科口腔外科という臨床科名ですが、歯に関わる疾患のみならず口腔・顎・顔面上頸部領域全般にわたるいわゆる「口腔顎顔面科」として対応しています。口腔・顎・顔面領域は、咀嚼、嚥下、言語などの重要な機能とともに、顔面という人間の尊厳の象徴的表出域を形成し、表情などにも大きな役割を担います。歯科口腔外科は口腔の機能と顔面の審美性を保持しつつ病気を完治させることを専門とする科であり、口腔癌(舌癌、口底癌、上・下顎癌、頬粘膜癌)、顔面骨折、口唇裂・口蓋裂、顎変形症などにおいては咬合および咀嚼の回復が特に必要とされる分野です。

具体的な診療領域は口腔内では 上顎、下顎、舌、口底、口蓋、頬粘膜、歯、歯肉 口腔外では 顔面、顎関節、唾液腺、リンパ節、口唇、頬部、顎下部、オトガイ下部、頸部ならびにその隣接組織です。疾患としてはこれらの部位に発生した先天性、後天性の異常で手術的療法、内科的療法(薬物療法、理学療法)で治療する部門で、その治療方法も局所的療法から全身的療法にまで及びます。具体的には歯に起因する疾患をはじめ、悪性腫瘍、良性腫瘍、粘膜疾患、口腔顎顔面外傷、口唇裂・口蓋裂、顎変形症、炎症、埋伏歯、嚢胞、唾液腺疾患、顎関節疾患、顎顔面欠損、閉塞性睡眠時無呼吸症候群など多岐にわたるとともに、疾患によっては顎顔面の変形などの審美的障害のあるもの、顎運動などの機能的障害のみられるもの、また生命に影響を与える可能性のあるものなどです。

口唇裂・口蓋裂においては日本口蓋裂学会認定師の資格を有する医師を中心に手術を行い、術後は専門の言語聴覚士(ST)による言語治療、矯正指導医による顎、歯列矯正、顎裂部骨移植といった一貫治療を行っています。

ニュース2

顎変形症治療に関しては、矯正指導医が常勤しており、術前矯正、手術、術後矯正と一貫治療を行っています。口腔ケアにおいては、当科の口腔ケアチームがICU、糖尿病、抗癌剤による口内炎患者などに対し病棟の垣根を越えて看護師、緩和ケアチーム、NSTチームなどと連携し成果をあげています。

2018手術写真

特徴的技術

インプラント義歯

 

インプラント(人工歯根)治療に一部健康保険が使える、高度先進医療としてのインプラント義歯の治療を行っています。適応となるのは、歯を喪失した後の顎骨の吸収が著しい人や腫瘍の切除や外傷などで歯や顎骨を喪失した人でありますが、従来は、全額患者さん負担であった手術前のX線検査や血液検査、入院費用、手術後の薬剤費などが健康保険の適用となりました。具体的には、人工物(金属)でできた歯根を顎の骨の中に埋め込んで、それを支台として失われた歯および義歯を作成し、噛み合わせの回復を行う治療です。 (生命保険の高度先進医療の適応については各社に確認をお願いいたします。)

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特徴的な医療機器等

  • 顎関節用細径内視鏡
  • Bio-PAK(顎機能診断装置)
  • Dental prescale Occluzer(咬合力測定システム)
  • YAG,CO2レーザー手術メス
  • フローネイザリティーグラム
  • シムプラント(CT画像再構成装置)
  • Nobel biocare インプラントシステム
  • AQBインプラント
  • 矯正用ミニインプラント
  • エコー装置

外来案内

外来

教授以下すべてのスタッフが診療に当たっており、 診断医による診断・治療方針の決定ののち、担当医が治療を行います。
歯科用診察台は9台設置し、1日約70人〜110人の診察を行っています。
夜間は当直医による対応を行っており、深夜でも救急処置が可能で、必要であればすぐに隣接診療科と連携が取れる体制になっています。

入院

歯科口腔外科は2階A病棟にあり、 年間の新入院患者数は約270例です。口腔疾患以外の疾患を有している方は、その専門診療科と連携して診療に当たっております。

診療実績

外来実績(新患)
<2021年1月〜12月>
疾患名 件数
口唇裂・口蓋裂 10
悪性腫瘍 18
外傷 40
顎変形症 20
顎骨腫瘍および嚢胞 132
口腔粘膜疾患 124
感染症・炎症 45
唾液腺疾患 16
顎関節疾患 60
神経性疾患 20
歯牙・義歯関連 2053
合計 2538
手術実績(中央手術室での手術)
<2021年1月〜12月>
疾患名 件数
口唇裂・口蓋裂 16
悪性腫瘍・前癌病変 27
外傷 13
顎変形症 28
顎骨腫瘍および嚢胞 44
感染症・炎症 8
唾液腺疾患 3
歯・歯槽外科術 77
合計 216

 

医師紹介

診療科長・教授 小谷 勇

准教授 土井 理恵子

統括医長 講師 田村 隆行

矯正担当  助教 片岡伴記

病棟医長 助教 藤井 信行

助教 奈良井 節

外来医長 助教 原田 勇聖

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