研究実用化支援部門
当部門では、医療ニーズにマッチした医薬品、医療・介護機器の開発とその製品化を目的として、診療科と連携しつつ、医療現場に直結した医薬品、医療機器開発の基礎研究から実用化までのシームレスな支援を提供しています。特に、医薬品・医療機器開発のアーリーステージ(ニーズ収集~非臨床研究)ではスタートアップ支援、研究費獲得支援、研究開発支援、出口・薬事戦略策定支援、知財マネジメント支援など、レートステージ(実用化)では産学官連携支援や広報活動支援などを行っています。
当部門による支援の成果として、漏れにくい成人用紙おむつやすい臓採取細胞チェッカー「TSCI」など、これまでに11件(平成30年1月現在)の医療機器等の製品化にも成功しています。
これまでの医療機器等開発支援の主な実績
No | 名称 | 製品イメージ | 学内関係者 | 関係企業 | 状況 |
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1 | 漏れにくい紙おむつ 『アテント』 |
中山 敏 (形成外科) |
大王製紙 | 発売(H26) | |
2 | すい臓採取細胞チェッカー(TSCI) | 松本 和也 (消化器内科) |
アダチ | 発売(H26) | |
3 | 血糖値測定器データ転送アダプター | 大倉 毅 (循環器内科) |
MEDIO | 発売(H26) | |
4 | 病院食用冷めにくい食器 | 成瀬 隆弘 (栄養管理部) |
スリーライン | 発売(H26) | |
5 | 手術映像録画システム『SRS』 | 谷口 雄司 (手術部) |
MediPlus | 発売(H27) | |
6 | 看護用ワゴン『とりりんワゴン』 | 藤井 春美 (看護部) |
リコー | 発売(H27) | |
7 | 医療用ドリル『月光ドリル』 | 榎田 誠 (整形外科) |
ビックツール | 発売(H28) | |
8 | 寝るときに着る背中保温・保護用衣料 『寝ごころちゃん』 | 稲賀すみれ (解剖学) |
柏木商会 | 発売(H28) | |
9 | 医療シミュレーター『mikoto』 | 中野 俊也 (シミュレーションセンター) |
MICOTOテクノロジー | 発売(H29) | |
10 | 医療用タグ付け器『たぐりん。』 | 足立 佳子 (看護部) |
日本マイクロシステム | 発売(H29) | |
11 | 頬粘膜保護用マウスピース | 中力 直樹 (口腔外科) |
ケイケイ | 発売(H29) |
現在は、イノベーション教育の実践、医療機器開発人材育成講座 共学講座の実施、医工農連携による医療機器開発プロジェクトのほか、研究実用化支援独自の医療機器開発(例えば、大腸検査での患者様の負担を軽減するための機器開発など)を、医療機器製造販売業者や医療機器製造業者などの企業と連携してプロジェクトを積極的に進めています。
当部門が実施している主な事業についての概略を下記に示します。
大学院コース「革新的未来医療創造コース」によるイノベーション教育の実践
医学系研究科革新的未来医療創造コースにおいて、新しいものを作る喜びと発明に興味を持ってもらう発明楽授業を実施しています。この発明楽では、発明をたし算、ひき算、かけ算、わり算の4つの発想スキルによるフレームワークを使用します。既存の発明品をこのフレームワークに落とし込む演習を行うほか、医療機器の実演を交えた授業を実施することによって、学生へ発明の楽しさを伝えています。
このような活動は2012年からスタートし、これまでに小学校、高等学校および鳥取大学でのべ1,000人以上の学生に対して授業を行っています。また、発明楽は2013年に文部科学省の「地方大学の特色あるプログラム100選」に選ばれ、同6月に発明楽授業に用いる教材用の絵本を作製しました(非売品)。現在は、英語、中国語、ロシア語に翻訳したものも作製しており、これらを含めた累計の印刷部数は約3,000部に達しました(2015年4月1日時点)。2014年にはポップアップ版(飛び出し絵本)も作製しました。引き続き、これらの教材を使って発明の楽しさを学生たちに伝えていきます。
発明楽の詳細については下記URLを参照してください。
医療機器開発人材育成講座 共学講座の実施
医療機器開発人材育成講座 共学講座は、(国)日本医療研究開発機構(AMED)の国産医療機器創出促進基盤整備等事業の採択を受けて鳥取大学医学部附属病院が平成26年度から実施している事業です。この講座では、医療機器産業への参入を目指す企業と病院の連携関係の強化を目的として、国産医療機器開発を促進するための勉強会と臨床現場見学会を年4回開催するほか、医療機器開発に関するシンポジウムを毎年開催しています。また、医療機器開発に関して先進的な取り組みをされている地域を共学講座に参加している企業とともに訪問する先進地視察や、共学講座に参加している企業向けの医療機器開発相談窓口の開設といった活動も実施しています。本講座のこれまでの取り組みについては下記ULRをご参照ください。
【共学講座に参加企業向け医療機器開発相談窓口】
鳥取大学医学部附属病院
新規医療研究推進センター
〒683-8504 鳥取県米子市西町36-1
TEL:0859-38-6745、FAX:0859-38-6746
E-mail:amirt@ml.med.tottori-u.ac.jp
医工農連携による医療機器開発プロジェクトの推進
鳥取大学の戦略2における取り組みの一つである「医工農連携による医療機器開発プロジェクト」は、医学部、工学部、農学部の最新技術を融合させた従来にない新しい医療機器の開発および実用化とそれらのプロセスを通じた人材育成を行うとともに、これらの活動を通じて教育・研究の成果を地域や国内外へ還元していくことを目指しています。当部門では、鳥取大学の医学部、工学部、農学部が連携して戦略的に実施する医療機器等開発の企画・運営の役割を担っています。