2歳未満幼児の熱傷治療に対し国内初の治療法に成功

当院高度救命救急センターでは、このたび同種皮膚1・自家分層植皮2を使用せず、自家培養表皮と人工真皮のみで、2歳未満幼児の広範囲熱傷治療及び救命に成功いたしました。2歳未満の幼児に対する本治療の救命例は本邦初となります。本件について令和5年1月23日(月)に記者説明会を実施。説明会では高度救命救急センター・上田敬博教授の挨拶の後、同・生越智文講師が治療内容について説明いたしました。

今回のような小児の広範囲熱傷は治療が難しく、従来の治療だけでは成長に伴い瘢痕拘縮が起こり、機能障害や整容面での手術が繰り返されることがあります。しかし今回の同種皮膚・自家分層植皮を使用せず、自家培養表皮と人工真皮のみを使用する治療では、それら手術の機会を減らしたり、必要でなくなることが期待されます。

上田教授は、「本治療を特殊な治療として捉えるのでなく、熱傷治療に携わる医療機関であれば施行可能となるように普及していきたい」と語りました。

1同種皮膚:ヒト(死体)から採取した皮膚(同種皮膚)を皮膚の生理的活性を低下させることなく、長期間超冷凍保存した皮膚

2自家分層植皮:患者さん自身の皮膚の一部を薄く削ぎ取って植える植皮術

0123熱傷治療_記者説明会①
スライドにて説明する生越講師(右)と上田教授(左)
0123熱傷治療_記者説明会②
記者からの質問に対応する上田教授