日本初ロボット支援手術による心臓の大動脈弁置換術を実施

このたび当院心臓血管外科は、日本で初めてロボット支援手術による心臓の大動脈弁置換術を実施し、1124()に記者説明会を行いました。

当院では、2010年より手術支援ロボット「ダビンチ」を導入し、痛みや出血をできるだけ少なくし、体の負担を最小限に抑え回復を早める“低侵襲治療”を推進しております。20184月、心臓に対するロボット手術が保険適応になり、当院心臓血管外科ではこれまで積極的に「僧帽弁閉鎖不全症」のロボット支援手術“僧帽弁形成術”を行ってきました。

そして、今回新たに202210月、「大動脈弁閉鎖不全症」に対する“大動脈弁置換術”を実施しました。

「大動脈弁閉鎖不全症」は、心臓の弁のひとつが壊れて正常に働かなくなり、心臓の中で血液が逆流する病気です。心臓に負担をかけ、全身に充分な血液が送り出せなくなるため、動悸や息切れなどが起こります。重症の場合、壊れた弁を人工弁に置き換える“弁置換術”という心臓手術が行われることが一般的です。

従来の心臓手術では、胸骨を大きく切り開く“胸骨正中切開”もしくは、小切開胸腔鏡手術 “MICS(Minimally Invasive Cardiac Surgery)”が行われます。

しかしながら、MICSの場合手術時に実際に見える範囲が小さく、術野の確保が難しいとされています。その点において、今回実施した手術支援ロボット「ダビンチ」を用いた大動脈弁置換術は、高精度の3Dカメラによって深く細かいところまで確認することができ、手術器具の可動域が広く、病変部に正確にアプローチすることができます。この点が、ロボットを用いた心臓手術の最大のメリットです。

当院が実施したロボットを用いた大動脈弁置換術は、まだ保険適用されていませんが、重症の大動脈弁閉鎖不全症の患者さんに対して、より安全で体に優しい“低侵襲治療”を提供することができるようになると考えております。

また、当院は、より高度な手術を安全に、広く日本に普及するロボット手術のリーダーとして努力を継続していきたいと思います。

心臓血管外科②
原田病院長
心臓血管外科③
西村診療科長
心臓血管外科④
吉川副診療科長