使い捨て飛沫防止ボックス「トラキアボックス」を開発しました

鳥取大学医学部附属病院は、使い捨て可能な紙製の飛沫防止ボックス「TRACHEA BOX(トラキア ボックス)」を開発し、販売を開始しました。本件について、販売日の2020年9月10日に記者説明会を行いました。

 医療現場では、気道確保のため気管挿管(気管に専用のチューブを挿入すること)を行うことがあります。その際に、患者さんが反射でせき込む場合があり、医療従事者が飛沫をあびることによる感染のリスクが高まることが懸念されていました。そのため、台湾東部・花蓮県の台湾基督教門諾会医院の頼賢勇医師が患者の頭部をアクリル製ボックスで覆い、医療従事者を患者さんの飛沫から防ぐことのできる飛沫感染対策器具のエアロゾルボックスを開発いたしました。
当院でもアクリル製エアロゾルボックスを使用していましたが、再利用を前提に作られたものであるため、使用後に消毒を行う必要があり、その際に感染や破損の恐れがありました。この課題を解決するため、当院と中海・宍道湖・大山圏域 産学・医工連携推進協議会が共同してプロジェクトをスタートし、開発、製品化につなげました。

トラキアボックスは、素材が段ボールと透明フィルム(ポリプロピレン)で出来ており、収納時はコンパクトに折り畳み、使用時に現場で組み立てることが可能です。また、個包装で使い捨てのため、衛生的で飛沫が付着した内側に触れることなく廃棄できるなど、医療従事者の声が反映されたものになっています。

 記者説明会では、原田 省病院長、手術部 舩木一美准教授、新規医療研究推進センター 才木直史産官学連携コーディネーターが出席し、本製品の説明を行いました。シミュレーターを使った気管挿管のデモンストレーションでは、組み立てから解体までを実践しました。

会見で原田病院長は、「医療者が安全に医療を行えることが、患者さんに質の高い医療を提供できることにつながる。」と述べました。
使い捨てのエアロゾルボックスは、国内でも初の製品であり、全国の医療現場での活用が期待されます。

 

トラキアボックス1
記者説明会の様子
トラキアボックス2
気管挿管のデモンストレーション