当院脳神経小児科研究グループは、神経型ゴーシェ病の根本治療が期待される新たな治療薬の開発に向け、この5月より医師主導治験を開始しました。
ゴーシェ病は稀少神経難病の一つで、遺伝子の変異により細胞内の酵素が欠損する疾患。肝臓、脾臓の腫れや無意識に体の一部がひくつく「ミオクローヌス」など、さまざまな症状を引き起こします。これまで酵素を補充するなどの治療法はありましたが、神経型の症状を改善させる薬はなく、開発が待たれていました。
今回の治験では、神経型ゴーシェ病患者を対象に、痰を出しやすくする去痰剤に含まれる成分「アンブロキソール塩酸塩」を投与し、有効性と安全性を検証します。そして薬事申請を行い、世界初の治療薬としての承認を目指していきます。
6月11日(火)に記者説明会を開き、脳神経小児科科長 前垣教授と成田助教、新規医療研究推進センター 遠藤特命講師が本治験の概要について説明を行いました。
前垣教授は「ゴーシェ病に関しては2000年より基礎研究を始め、臨床研究、医師主導治験と段階を経てきた。あと一歩で患者さんの元に薬を届けられるとの思いで頑張りたい。」とこれまでの経緯をふまえ挨拶しました。