診療支援技術部
1.人員体制
令和1年度における人員は常勤職員149名、非常勤職員12名の総数161名であった。
内訳は次に示すとおりである。
常勤(非常勤) | |
---|---|
検査 | 35(6) |
病理 | 5(2) |
耳鼻科 | 3(0) |
放射線 | 41(1) |
口腔外科 | 6(2) |
リハビリ | 31(1) |
臨床工学 | 23(0) |
眼科 | 5(0) |
全体 | 149(12) |
役職者
部長 | 野上智 | |
部長補佐 | 原文子 | |
副部長 | (業務・医療安全担当) | 山川隆 |
〃 | (人材育成・教育担当) | 山下栄二郎 |
〃 | (総務・研究支援担当) | 中力直樹 |
2.診療支援技術部全体の取り組み
1.病院新採用職員へのオリエンテーション
4月2日に実施された病院新採用職員オリエンテーションに診療支援技術部として参加した。このオリエンテーションにおいては各技師(士)長より、新規採用職員に対し、それぞれの部署の紹介や業務上の注意事項について説明を実施した。
2.診療支援技術部新人オリエンテーション
診療支援技術部に新規採用された職員に対して、診療支援技術部オリエンテーションを実施した。内容は関連部署の見学と技術部役職者による講義形式とした。
4月17日に関連部署見学を実施。4月18日に講義を実施した。講義では、「組織の基本と方向性」、「服務規程」、「人材育成・教育」、「業務・医療安全」、「研究活動」について部長、副部長、部長補佐より講義を行った。また、各職種間での繋がりを作るために新採部員同士がディスカッションできる場を設定した。
これらの取り組みにより多職種により構成される診療支援技術部の職員に共通する事柄について基礎的な知識の修得を図った。
3.看護の日のパネル展示
診療支援技術部として看護部による5月8日の“看護の日”のイベント開催に各領域紹介パネルの掲示を行い協力した。令和1年度は、放射線技術領域、検査技術領域、歯科口腔外科技術領域がパネル掲示を行い、リハビリテーション技術領域は自助具等の展示を実施し、言語聴覚士による相談窓口を設けた。当院に来院された多くの患者さんにこれらの取り組みをご覧いただき医療技術職に対する理解を深めて頂くことができた。
4.医療安全取り組み報告会における報告
11月21日に病院全体で開催された医療安全取り組み報告会においては診療支援技術部として報告を実施した。放射線領域による、「MRIの安全性」、耳鼻科技術領域による「睡眠検査における転倒転落対策」と題して、院内職員への医療安全に対する周知や報告を行った。
5.第4回診療支援技術部学術大会の開催
1月25日に、診療支援技術部内での研究活動に対する知識共有化の為、「第4回診療支援技術部学術大会」を開催した。会のテーマは「創造 -新時代への挑戦-」とした。大会では岡山大学医療技術部長の岡田健先生に「医療技術部(診療支援部)の将来に向けて」と題した特別講演をいただいた。この御講演においては医療技術部として歴史のある岡山大学の取り組みを知ることができ、部員一同大いに刺激を受けるとともに、我々の今後の活動に大いに参考になるものであった。また、一般演題に於いては岡山大学副医療技術部長の本田先生から医療機器開発に関わる御発表を頂くとともに、部内各職種による研究発表を行い、9演題が発表された。
参加した職員は普段目にすることの少ない他職種の発表を目にして、異なる視点からの研究に触れ、新しい知識・研究手法を学び合う事でお互いに良い刺激を受けたようであった。今後も継続的にこの大会を開催して診療支援技術部内で職員の研究活動を奨励する雰囲気を醸成し、各職種における更なる研究活動の活性化を期待するものである。
(1)日時 2020年1月25日 13:00~17:00
(2)場所 臨床講義棟 431
(3)テーマ 『創造 -新時代への挑戦-』
(4)特別講演 「医療技術部(診療支援部)の将来に向けて」
岡山大学病院医療技術部長 岡田健 先生
(5)大会長 野上智(診療支援技術部長)
(6)実行委員長 橋本祐樹(検査技術領域)
(7)参加者数 91名
6.学術表彰・部長表彰の実施
平成29年度より開始した学術表彰・部長表彰について、令和1年度も実施した。
「学術表彰」については学術的な活動に熱心に取り組んでいる個人に対し、その業績・功績を称えるもので、そのレベルにより、新人賞、奨励賞、功績賞、の三賞を設定した。これは、職員の研究活動を奨励し表彰することにより、部内職員の研究活動のより一層の活性化を図ることを目的としたものである。
「部長表彰」については、既存の診療活動や学術的活動等の既存の枠を超えた取り組み等を熱心に行っている個人またはグループに対し、診療支援技術部長賞を授与してこれを称え、その他の診療支援技術部職員における新たなフィールドでの活動を奨励し、その意識向上を図ることを目的としたものである。
この表彰式は1月25日の第4回診療支援技術部学術大会に併せて開催した。各賞の受賞者の人数は下記のとおりである。
各賞の受賞者数
学術表彰新人賞 | :11名 |
学術表彰奨励賞 | :6名 |
学術表彰功績賞 | :4名 |
部長賞 | :2名 |
7.特定任期付職員の常勤登用試験への関わり
平成29年度より、診療支援技術部における特定任期付職員の常勤登用試験において、診療支援技術部長もしくは副部長が面接官の任に関わらせていただいている。
令和1年度も当院における常勤登用試験において医療技術職からの視点を基に、病院の運営に貢献することのできる人材の登用に資するべく関わった。
診療支援技術部は病院が目指す安定した病院運営を支えると共に、高度で安全な医療技術の提供と患者サービスの向上に資することを目的とした組織であり、そのために医療人としての「人間力」、専門技術者としての「技術力」、大学職員としての「研究力」、これらを地域に活かす「地域貢献力」を踏まえた人材育成を実施している。今後も常勤登用試験に関わりを持ち優れた人材の育成・登用に貢献していく考えである。
8.副技師長選考、主任選考への関わり
平成30年度より、副技師長選考、主任選考への関わりを開始した。令和1年度は放射線部の主任の選考に関わりを持った。このことは、医療技術職として技術的な指導力が豊かであるとともに人間的にも広い視野をもつ者、他職種と共同できる者を選考する目的を果たすものであり、多職種連携による安心・安全な医療、先進的な医療に貢献できる組織作りの基盤となるものである。
9.全国国立大学法人医療技術部(診療支援部)会議準備委員会について
2022年に鳥取大学で開催が計画されている、この全国会議開催に向け、2019年11月28~29日に熊本大学で開催されたこの会議に、各技師(士)長を中心とした部員が参加し、本院でこの会議を開催する際の具体的なイメージを掴んだ。この後、当院診療支援技術部内にこのメンバーを中心とした準備委員会を設置しこの会の開催に向けた取り組みを実施した。
10.各職種における会議等開催への相互協力について
各領域における地方会・全国大会の活動招聘をより行いやすくするための体制を作ること、また前述の全国国立大学法人医療技術部(診療支援部)会議開催のための体制づくりを目的とし、各職種における会議等開催にあたって他の職種がその開催に協力する取り組みを実施した。令和1年度は放射線部が主催した、文部科学省全国国立大学放射線技術者研修第24回オータムセミナーが10月3日(木)~4日(金)に米子市内で開催され、診療支援技術部としてその開催に協力した。この取り組みにより異なる職種における会議開催方法やノウハウなど、多くを共有することができ今後の活動において非常に有益であった。また、他大学の放射線部に対しても会議開催にあたって当院では診療支援技術部の協力体制があることについて、高い評価を得ることができ効果的な取り組みとなった。
3.委員会活動
診療支援技術部には「人材育成・教育特別委員会」、「業務・医療安全特別委員会」、「研究支援特別委員」を設置している。3つの特別委員会ではそれぞれの担当副部長を委員長とし、各職種の担当者を委員として充て、月に1度の頻度で会議を開催し、各種の活動を行っている。
1.人材育成・教育特別委員会
人材育成・教育特別委員会では、平成28年度より【疾患勉強会】と【部署見学】を企画し、部内職員の育成・教育を目的とした取り組みを行っている。
疾患勉強会は、第6回として9月に「肺疾患」と第7回として12月に「バセドウ病」をテーマに開催した。参加人数は、それぞれ診療支援技術部全体の4割にあたる50名程度であった。テーマは、例年のごとく部署間の共通の疾患を取り上げ、各部署からの視点で、どのように診断・治療に関わっているかについて解説し、お互いの知識を高めた。
部署見学は、第8回として7月に「病理部」と第9回として2月に「眼科外来」の見学を行った。参加人数は、それぞれ43名と35名であった。各部署を見学することで、互いの業務内容の理解も深まり、またその部署での創意工夫が自部署の運用に役立つヒントともなった。
その他として、新人教育に主点をおいた「ストレスマネジメント」の講演会を計画していたが、新型コロナウイルスの影響により延期を余儀なくされた。
引き続きこれらの取り組みを通して、当院の高度医療を推進できる人材を育成していきたいと考えている。
2.業務・医療安全特別委員会
業務・医療安全特別委員会では医療技術職が医療安全に貢献できることに焦点をあて委員会内部を、「転倒転落対策班」、「感染対策班」、「患者誤認受付対策班」の3班に分けて活動を実施している。
具体的な活動としては、各領域の実際の臨床現場における転倒予防指導を行っている。また、患者受付対応の問題点の抽出を行い、意見交換を行った。毎回の委員会では各領域で起こったインシデント報告を行い、原因の究明、対策について情報の共有化を図っている。
当院の医療安全取り組み報告会で診療支援技術部が担当した会においては、本委員会が中心となり診療支援技術部の取り組み報告を実施した。業務・医療安全特別委員会ではこのような取り組みを通じ、医療技術職員として当院における安心・安全な医療の提供に貢献したいと考えている。
3.研究支援特別委員
研究支援特別委員会では、部内職員の研究活動をより活性化させるための様々な取り組みを実施している。まず、研究初学者向けの【ミニレクチャー】、研究経験者を対象に更にレベルアップを図る【科学研究セミナー】を開催している。また、診療支援技術部の【学術大会】を年に一度の頻度で開催している。さらに、研究活動等に一定の成果をあげたものを対象に【学術表彰・部長表彰】を実施している。これらに加え、新規医療研究推進センターとともに医療技術職による医療機器開発を目指す【T-MED 医療機器開発チーム】を開催している。
令和1年度の開催概要については次のとおり。
【ミニレクチャー】
令和1年6月10日17:30~:
研究遍歴と研究の始め方
演者(恩田栞菜(検査)、渡辺靖子(歯科口腔外科))
令和1年8月1日18:00~:
文献検索のしかた
演者(足立美和先生(図書館司書))
令和1年11月8日:
統計セミナー
演者((検査部)森下奨太)
令和2年2月14日:
スライドづくりの基礎を学ぼう
演者(松重委員(病理部))
【科学研究セミナー】
令和1年8月21日:
本年度科研採択タイトルの紹介
演者(橋本委員(検査)、松重委員(病理))
令和2年1月29日:
医療ニーズ/シーズから次々に製品を生み出す大学発ベンチャー~想いを形にするものづくり~
演者 代表取締役 山岸大輔 先生(株式会社メディビート)
【第3回診療支援技術部学術大会】
この学術大会の開催については、研究活動を奨励する雰囲気づくりの一環として本委員会が中心となり学術大会を企画・開催した。会の概要については前述のとおりである。研究支援特別委員会では部内職員の研究活動を活性化させるためのこれらの取り組みにより、高度先進医療を担う当院の取り組みに貢献できる人材の育成に努めていく考えである。
【学術実績表彰・ファーストペンギン賞】
当初より本委員会が企画・立案・実行したものであり、今回も被表彰者の推薦依頼、賞状作成など様々な業務を実施した。
その概要については先に記したとおりである。
【T-MED 医療機器開発チーム】
平成30年度から、新規医療研究推進センターの古賀准教授、才木コーディーネーターとともに診療支援技術部職員による医療機器開発チームを結成した。
主なメンバーは研究活動にアクティブな研究支援特別委員を中心にしているが、それ以外のメンバーも入れた18名で実践的な取り組みを行っている。
主な内容については次のとおり。
内容
企業プレゼン(その企業で製造している製品紹介)
企業による製品の医療機器への応用についてのディスカッション
医療職によるアイデアのプレゼンテーション、ニーズ紹介
参加者全員によるブレインストーミング
開発品の絞り込みと個別案件化による医療機器開発
(文責 中力直樹)