低侵襲外科センター

鳥取大学医学部附属病院低侵襲外科センターは平成23年2月に設立されました。このセンターの使命は、先進的な低侵襲手術(ロボット手術、鏡視下手術、カテーテル手術等)をより安全に患者さまに提供することであり、そのための医療安全管理体制の確立と若手医師の教育システムを構築することです。現在この目的は達成され、全外科系診療科(泌尿器科・消化器外科・女性診療科・呼吸器外科・頭頸部外科・心臓血管外科・整形外科・脳神経外科)が垣根を越えて切磋琢磨し新規技術の導入に努め、麻酔科、手術部看護師、臨床工学技士、医事課の中央部門と協力し、最先端の医療を安全に提供できる体制となっています。具体的には新しい術式・ロボット支援下手術に関する術前術後カンファレンスを、毎月2回開催しております。全診療科の医師、研修医、手術部看護師、臨床工学技士が集合し手術適応、手術手技の妥当性、合併症などについて検討し、情報共有を行っています。

平成30年4月には念願だったロボット支援手術の保険が新たに12術式に適応され、平成30年12月に第4世代の手術支援ロボット「ダビンチXi」と「ダビンチX」をダブル導入。以来2台体制で稼働し、ロボット支援手術は令和元年6月19日に1000症例を達成しました。令和元年度末で通算1188件となり、着実に実績を重ねています。比類のない協調性と透明性をモットーとして、他施設の規範となるような鳥大方式とよばれる一歩先の低侵襲外科治療を広く発信し、これからも患者さまの"心と体"の両方に優しい低侵襲手術に万全を尽くして参ります。

1年間の低侵襲手術実績(平成31年4月~令和2年3月)

ロボット手術件数 その他の内視鏡手術 低侵襲手術件数
H31.4月 14 89 103
R1.5月 21 74 95
R1.6月 10 84 94
R1.7月 20 102 122
R1.8月 15 88 103
R1.9月 14 89 103
R1.10月 22 95 117
R1.11月 17 95 112
R1.12月 23 101 124
R2.1月 24 81 105
R2.2月 23 73 96
R2.3月 28 96 124
年度合計 231件 1067件 1298件

診療科別ロボット手術実績

平成31年度・令和元年度の主な活動

  • 8月にロボット手術10術式の手術紹介リーフレットを患者さま用に作成し、各診療科の外来に配置しました。
  • 9月28日に「ダビンチ1000例達成記念事業」を三部形式で開催しました。第一部は地域住民の方を対象に「体験ツアー」として、手術室を中心に実際にダビンチの操作や腹腔鏡の操作を23名の参加者に体験していただきました。参加者からは指導にあたった医師・臨床工学技師・看護師などのスタッフの親切で丁寧な対応に、好意的な感想を多くいただきました。中村センター長より参加者に修了証をお渡しし、全員で記念撮影をして終了しました。
    第二部は「ロボットが切り拓く未来の手術」と銘うち、日本ロボット外科学会理事長をお招きして、鳥大医学部記念講堂で特別記念講演会を開催しました。179名の皆様にご参加いただき、鳥大医学部の学生合唱部によるオープニングコーラス・当院の医師・看護師による講演・患者さまの手術体験談・患者さまと医師とのトークなど、ロボット手術を身近に感じる企画に好評価をいただきました。
    第三部は「ロボット手術1000例達成記念祝賀会」を開催し、インテュイティブサージカル合同会社社長から原田病院長に「1000例記念盾」が贈呈されました。
    中村センター長制作のビデオ「ロボット手術1000例までの歩み」を上映し、歴代の低侵襲外科センター長・看護師長・前病院長など内外の関係者とともに、苦楽を振り返り、新たな展望と期待に決意を新たにする会となりました。
  • 10月24日に、原田病院長を囲み「座談会」を開催しました。各診療科の若手医師・臨床工学技士・看護師が、鳥取大学の将来のロボット手術について大いに語り合いました。
  • 11月9日に、卒後臨床研修センターの後援として第三回「結紮王・真皮縫合コンテスト」を開催しました。鳥取、島根、岡山の病院で研修中の初期研修医21名が参加し、練習の成果をブタの皮膚モデルを用いて競い合いました。
  • 11月からダビンチ手術独立術者認定を刷新し、既存取得者8名に加え、今年度新たに6名の認定を行い14名の独立術者に認定証を発行しました。
  • 令和2年2月にロボット手術1000例を記念し、集大成として記念誌「ロボットが切り拓く未来の手術」を発行しました。すべてのメディカルスタッフが横断的に一致団結して1000例まで歩んできた成果が凝集されています。
  • 令和2年2月11日に、医学科生(1年生~5年生)を対象とした第5回低侵襲外科体験セミナーを開催し、33名の学生が参加しました。低侵襲外科センターに所属する9診療科のうち希望する3診療科のセッションで最先端の医療機器を用いた模擬手術や手技を体験しました。医師、臨床工学士・看護師・事務など50名のスタッフが対応し、半日スケジュールでしたが参加者において満足度の高いセミナーとなりました。最後に、教官の採点による各学年の優秀者を表彰しました。
  • 令和元年10月~令和2年3月末にかけて、第4回骨盤外科ローテーションを行いました。泌尿器科、女性診療科、消化器外科の若手医師が各科を3か月おきにローテーションし、骨盤解剖の理解、術後管理、さらに、排尿、生殖、排便機能に関する総合的理解を深めました。ここでも診療科の垣根を超えた低侵襲外科センターの役割を果たすことができました。

低侵襲外科センター長 中村 廣繁