3-3-24. 治験管理センター
近年治験等に係わる省令がたびたび改正されている。それにあわせて当院も医薬品・医療機器臨床試験取扱規程や治験の業務に関する手順書を改訂している。平成20年度は治験の業務に関する手順書を大幅に改訂した。理由は、治験の依頼等に係わる統一書式が厚生労働省より示されたこと、GCP省令が改正されたこと、前回改訂時(平成19年2月)以降、当院の実情にそぐわなくなった部分を改訂する必要があったことによる。主な改訂内容の概要は以下のとおりである。手順書では、1)従来の手順書は治験(企業治験および医師主導治験)のみに関するものであったが今回製造販売後臨床試験に関わる内容を追加した、2)書式に係わる部分の文言を変更した、3)治験審査委員会の会議記録の概要の公表に関する内容を追加した(GCP省令改正に則ったもの)、4)利益相版に関する内容を追加した。書式では、1)企業治験および製造販売後臨床試験に関する書式を統一書式23種類および鳥大書式18種類とした(従来は治験で40種類、製造販売後臨床試験で43種類)、2)医師主導治験に関する書式を統一書式19種類および鳥大書式12種類とした(従来は41種類)。また、治験に合わせて製造販売後調査の手順書等も同時に改訂した。
治験、製造販売後調査および試験の新規・継続契約件数の推移を図1および2に示す。図に示すごとく、治験の新規と継続の契約件数は、依然減少傾向にあり平成21年度は新規7件、継続24件の合計31件であった。症例数についても同様に減少傾向にある。製造販売後臨床試験の契約件数は、平成19年度と同様、新規、継続合わせて3件であった。使用成績調査および特定使用成績調査の契約件数は順調に増加しており、20年度は新規・継続あわせて使用成績調査が65件、特定使用成績調査が71件であった。
製造販売後調査の最近の傾向として全例調査が増えてきていることが挙げられる。これは、特に抗がん剤で多くみられ、治験時の症例数が少ないことから全例を対象に調査が行われるものである。使用成績調査では新規契約25件の内12件、継続40件の内27件であり、特定使用成績調査では新規契約25件の内9件、継続46件の内16件であった。全例調査の中でも、登録等の仕方が異なり契約成立後でないと医薬品の納入ができないものや、医療機関や医師の登録、要件が厳しく制限されているものなど、実際に使用し調査を開始するまでに多くハードルを越えることが必要なものがある。今後、益々その傾向になると思われる。
現在鳥取大学では、治験や製造販売後調査に係わる経費は前納となっている。契約症例数を100%実施することが理想であるが、現実は必ずしもそうではない。平成16年度の法人化を機に国立大学でも出来高での経費納入制を導入した大学もあるので、当院もその点を考慮していくことも必要と思われる。また、当院のCRCは2名であるが、両人とも非常勤職員である。その専門性は非常に高く、今後の当院での治験実施を考える上で勤務年限等の問題をクリアする必要がある。治験は外部資金導入の点で重要であり、本院での契約件数・症例数を確保し、かつ質の高い治験を実施するためには、病院当局、診療科、治験管理センターが協力して治験を推進しなければならない。
図1.治験および製造販売後臨床試験契約件数の推移
|