脳とこころの医療センター

平成29年度の脳とこころの医療センターの活動状況の概略をご報告致します。

 

1.脳とこころの医療センターに属する4診療科間の連携

 平成29年度4月に、花島律子先生が脳神経内科学分野の教授として着任され、他の3診療科の教授とともに脳とこころの医療センターの管理・運営に関与して頂いております。神経・精神疾患の診療に係る脳神経外科、脳神経内科、脳神経小児科、精神科の4診療科は、外来・教室が近接しており、脳血管障害、てんかん、頭痛、発達障害、認知症、高次脳機能障害など、複数科での診療を必要とする可能性がある疾患・障害に対して、診療科間のスムーズな連携体制が可能となっています。
 複数の診療科に関連するような主訴の新患患者さんについて、平成28年度からは、当センターの総合診療の体制は廃止し、外来看護師が適当と判断した診療科がまず診療に当たることとなりました。その上で、必要な場合には、病態との関連が最も深いと判断される別の診療科に紹介することにしています。認知症を例にあげると、記憶などの認知機能が主な問題であれば脳神経内科、行動・心理症状への対応が必要であれば精神科がそれぞれ担当します。
このようにして、複数の診療科での診療、あるいは、成長に伴う脳神経小児科から他診療科へのキャリーオーバーなどの連携がスムーズに行われています。
 また、脳とこころの医療センターでは、当センターに所属する臨床心理士が多様な心理検査や神経心理検査を行っているため、センター内の教室間での情報共有が迅速に行われることも診療の効率化につながっています。

 

2.脳とこころの医療センターのカンファランス

 前述のごとく、神経・精神疾患はしばしば診断・検査・治療など、診療上の困難を伴うことが多く、専門的知識と広い視野が求められます。隔月に4診療科で実施している当センターの症例検討会は、平成29年度も6回開催され、各診療科の知識・経験に基づく多様な意見を交わすことができる貴重な場となっています。診療科の枠を超えた議論によって、異なる視点で診断が確定し、適切な治療を行うことで患者様が寛解に至る症例を経験することができました。
 平成30年度も、さらに4診療科の連携をさらに密にし、神経・精神疾患において大学病院に求められる高度医療を担うべく、努力を続けて参りたいと思います。

文責 兼子 幸一