医療スタッフ研修センター

 患者さんを思いやる心を持ち続けることが、看護の役割として最も重要であることに変わりはありませんが、昨今の医療の高度化および専門化、また国民の保健医療福祉に対する価値観やニーズの変化に伴い、看護の役割は拡大し、質の高い看護ケアが求められるようになってきました。このような期待に応え、看護の実践現場におけるケアの質向上を図ることを目的に、平成24年4月に医療スタッフ研修センター(旧・看護師キャリアアップセンター)が附属病院内に設置されました。
 本センターではこれらの目的を達成するため、平成24年度より認定看護師育成支援室を本センター内に設置し、日本看護協会が認定している『認定看護師教育課程』を開講し、特定分野の認定看護師を養成することといたしました。
 さらに、平成26年度より在宅医療推進支援室を本センター内に設置し、鳥取県地域医療介護綜合確保基金事業として『在宅医療推進のための看護師育成プログラム』を開始し、訪問看護師を育成することといたしました。

認定看護師育成支援室

認定看護師教育課程 

教育目的

 特定看護分野において、熟練した看護技術と専門知識を用いて患者・家族に対し個別的かつ全人的視点に立ち看護を実践する能力や、自らの実践力を自律的に向上させることができる能力を有する看護実践者を育成することを目的としております。

 

平成24年~25年

 平成24〜25年度は【がん化学療法看護分野】の認定看護師養成課程を開講いたしました。山陰では高齢者の増加に伴い、がんの罹患率も増加していますが、がん患者の看護ケアに関わるべき認定看護師や専門看護師の絶対数はいまだ充分ではないことより、がん化学療法看護認定看護師の養成を行いました。今まで遠方(神戸、東京など)でしか受講できなかった研修を山陰で受講できるようになったことは、非常に意義深いものと思われます。

 

平成26年~27年

 平成26〜27年度は【乳がん看護分野】の認定看護師養成課程を開講いたしました。日本人の女性の乳がん罹患率は増加してきたにもかかわらず、それを専門とする看護師はいまだ充分ではなく、また、乳がん看護認定看護師教育課程は全国でも2施設しか開講されておりません。本教育課程によって乳がん看護に精通した認定看護師が育成されることで、山陰においてもより質の高い乳がん看護を提供できるものと確信いたしております。

 

平成28年

 平成28年度は、地域の病院のニーズも踏まえて【がん化学療法看護分野】の認定看護師養成課程を再度開講しました。
 外来通院しながら、化学療法によるがん治療を行う患者へ、質の高い看護を提供するため、がん化学療法看護認定看護師の要請を行いました。

平成29年

 平成28年度は、本センターの教育課程の修了生を対象に、アピアランスケアをテーマとしたフォローアップ研修を行う予定です。

 

受講者数

平成24年度:7名
平成25年度:9名
平成26年度:4名
平成27年度:3名
平成28年度:7名

 

教育機関と講義・実習時間数

9月〜翌年3月(午前〜夕方) 講義420時間、実習240時間

 

講師

鳥取大学医学部保健学科教員、附属病院教職員、学外非常勤講師の看護師、医師、薬剤師、臨床心理士、管理栄養士、専門教職員など

 

認定試験合格者数(日本看護協会主催)

平成24年度受講生・・・合格者7名/受験者7名
平成25年度受講生・・・合格者8名/受験者9名(1名は次年度合格)
平成26年度受講生・・・合格者3名/受験者3名
平成27年度受講生・・・合格者3名/受験者3名
平成28年度受講生・・・合格者7名/受験者7名

在宅医療推進支援室

これからの日本の医療では、住み慣れた自宅で安心して暮らすことができる地域包括ケアシステムやコミュニティー文化の再構築が必須のものとなりました。これらの変化に対応するため、本院は、鳥取県の支援により、平成26年度~30年度の予定で『在宅医療推進のための看護師育成支援事業』を実施しており、在宅医療推進支援室が担当しております。

在宅医療推進のための看護師育成プログラム

これからの日本の医療では、住み慣れた自宅で安心して暮らすことができる地域包括ケアシステムやコミュニティー文化の再構築が必須のものとなりました。これらの変化に対応するため、本院は、鳥取県の支援により、平成26年度~30年度の予定で『在宅医療推進のための看護師育成支援事業』を実施しており、在宅医療推進支援室が担当しております。

 平成27年から3つのコースからなる「在宅医療推進のための看護師育成プログラム」を開設し、平成28年度は開講2年目となりました。

1) 教育目標

患者の退院後の生活をイメージしながら入院中からセルフケア支援が出来る病院看護師、在宅医療者の医療処置管理や薬剤管理などの高度な知識や技術を備えた訪問看護師を育成することを目的します。

 

2) 各コースの概要

(1)在宅生活志向をもつ看護師育成コース

   鳥取県内の病院に入職後1~2年の看護師を対象に在宅志向を持ち続けるための研修(2年間)を行う基礎コースと、基礎コース終了後の3年目看護師を対象として実践を強化する実践コースがあります。平成29年度からは実践コースが開講し、平成30年度には訪問看護ステーションへの出向が始まります。

(2)在宅医療・看護体験コース

   鳥取県内で病院に勤務している3年目以上の看護師を対象に、体験実習を行うコース

(3)訪問看護能力強化コース

   訪問看護経験者や上記コース修了者に、訪問看護能力やスキルを強化するコース

 

3) 受講者・修了者
受講者数

平成27年度

Ⅰ 在宅生活志向をもつ看護師育成コース:38名

Ⅱ 在宅医療・看護体験コース:27名

Ⅲ 訪問看護能力強化コース:7名

平成28年度

Ⅰ 在宅生活志向をもつ看護師育成コース(1年目):32名 (2年目):35名

Ⅱ 在宅医療・看護体験コース:19名

Ⅲ 訪問看護能力強化コース:11名

修了者数

平成27年度

Ⅱ 在宅医療・看護体験コース:27名

Ⅲ 訪問看護能力強化コース:7名

平成28年度

Ⅰ 在宅生活志向をもつ看護師育成コース:35名 

Ⅱ 在宅医療・看護体験コース:19名

Ⅲ 訪問看護能力強化コース:11名

4) 教育期間と講義・実習時間数

5月~翌年3月

 Ⅰコース(1年目)集合研修、HOCノートによる個人課題

 Ⅰコース(2年目)集合研修、HOCノートによる個人課題

 Ⅱコース( 半年間) 集合研修+訪問看護ステーション実習2日間、退院後家庭訪問実習

 Ⅲコース (1年間) 60時間以上の講義アラカルト式+訪問看護ステーション実習5日間

            遠隔講義システム(UCS)による講義 

 

5) 講師

附属病院看護師、医学部保健学科・医学科教員、学外非常勤講師の訪問看護師、他大学教員、医師、薬剤師、訪問看護事業者、ケアマネージャー、行政職など

 

 

【公開セミナー・事業報告会等の開催】

 1) 事業報告会開催

  第1回 事業報告会 平成27年10月31日 出席者 60名

  第2回 事業報告会 平成28年3月8日 出席者 64名

  第3回 事業報告会 平成28年10月31日 出席者 91名

  第4回 事業報告会 平成29年3月13日 出席者 91名

 2) T-HOCひのセミナー開催

  第1回 T-HOCひのセミナー 平成27年9月10日~11日  出席者 127名

  第2回 T-HOCひのセミナー 平成28年9月9日~10日   出席者 133名

  第3回 T-HOCひのセミナー 平成29年9月8日~9日 予定 

 3) T-HOC特別セミナー開催

第1回 T-HOC特別セミナー 平成27年10月31日 出席者 60名

  第2回 T-HOC特別セミナー 平成28年3月8日 出席者64名

第3回 T-HOC特別セミナー 平成28年10月31日 出席者 91名

  第4回 T-HOC特別セミナー 平成29年3月13日 出席者 90名

  第5回 T-HOC特別セミナー 平成29年10月28日 予定

  第6回 T-HOC特別セミナー 平成30年3月5日 予定

 

【広報・研究活動】

  1) 第19回東アジア看護学研究者フォーラムにて発表

    「在宅医療推進のための看護師育成プログラム受講生の在宅志向調査」

     平成28年3月14日~15日

  2) 第18回日本在宅医学会大会・第21回日本在宅ケア学会学術集会にて発表

    「訪問看護体験プログラムによる病院看護師の在宅生活志向の育成」

    平成28年7月16日~17日

  3) 第36回日本看護科学学会学術集会にて発表

    「新人病棟看護師を対象とした在宅生活志向育成プログラムの効果home-oriented careの推進」

    平成28年12月10日~11日

  4) 第4回さんいんホームケア研究会にて発表

    「在宅医療推進のための看護師育成プログラム 訪問看護ステーション実習における受講生の学びと今後の展望」

    平成28年9月15日

  5) 一般社団法人広島県病院協会 看護職員研修会にて講演

    「地域の訪問看護の充実を目指した在宅生活志向をもつ看護師の育成」

    平成28年10月13日

  6) 第36回日本看護科学学会学術集会 交流集会にて取組紹介

    「行政・実践者・大学連携による訪問看護師の質的量的確保のしくみづくり:

     千葉・鳥取・高知県の事例から」

    平成28年12月11日