第三内科診療科群

 第三内科診療科群は呼吸器・膠原病内科として主に呼吸器疾患及び膠原病の診療を担当しています。呼吸器疾患に関しては肺癌が近年増加しています。その内科的治療は長期間となるため入院だけでなく外来での化学療法にも力を入れています。
 膠原病には肺病変が合併することも多く、呼吸器、膠原病の専門分野の垣根なく全医師が共同で診療にあたっております。
 外来では呼吸器疾患として気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患などの割合が高く、より専門性の高い腫瘍、アレルギー、膠原病に関しては専門外来も開設しております。専門外来には遠方からの紹介も多く、平成26年の外来受診者は1日平均90人程度となっております。
 入院に関して、平成26年度の新入院は881人で、1日平均約50人の診療を行いました。そのうち肺癌を中心とする胸部悪性腫瘍が約半数を占め、間質性肺炎、喘息、呼吸器感染症などの非悪性呼吸器疾患が3割程度、全身性エリテマトーデス、各種血管炎などの自己免疫疾患・膠原病が2割程度となっています。この割合はここ数年大きな変化はありませんが、膠原病の症例が増加している傾向にあります。
 当科で行う主要な検査のひとつが気管支内視鏡で、主にびまん性肺疾患や肺癌などの悪性疾患の診断に用いられます。平成26年度の呼吸器内視鏡件数は403件で、肺末梢病変に対する生検(主に仮想内視鏡ナビゲーションを併用した気管支腔内超音波断層法-ガイドシース: VBN併用EBUS-GS)201件、超音波内視鏡下リンパ節生検(EBUS-TBNA)59件となっています。呼吸器内視鏡は検査のみではなく、気道異物除去術やアルゴンプラズマ凝固などの内視鏡手術5件と治療としての実績も上げてきております。また局所麻酔下胸腔鏡も2012年度に導入後すでに30例以上に施行しており、従来の胸水検査のみでは困難であった結核性胸膜炎、悪性胸膜中皮腫の診断例が着実に増えています。
 肺癌治療においては、胸部外科、放射線治療科と週1回のカンファレンスをもち、個々の症例を検討し、適切な治療方針を決定しております。肺癌の化学療法は主に当科で行っておりますが、外来での化学療法が一般的になっており平成26年度の外来化学療法はのべ991件と年々増加しています。
 今後も医学の進歩を迅速に取り入れると同時に、独自の研究も進め地域の中核的施設として診療レベルの向上に努めていきたいと考えています。

                                            (文責 井岸 正)