麻酔科診療科群
麻酔科診療科群では、麻酔管理の必要な手術の周術期管理、集中治療、人工呼吸器管理、疼痛緩和、緩和ケアなどの診療活動を行っています。今の麻酔科医師不足が深刻で、麻酔科医養成の責任は大変大きいところですが、すべての業務は当科のみで完結するものはなく、各診療科と綿密に情報交換し、強い協力体制で日々の診療に取り組んでいます。
麻酔科
1.手術業務
手術部あるいは各科診療外来において、大学病院に求められる高度で先進的な手術や検査などの医療が、安全・快適な環境で実践できるよう最新の機材、技術を駆使し麻酔業務を行っています。麻酔法としては、全身麻酔、硬膜外麻酔、脊髄くも膜下麻酔(脊椎麻酔)、エコーガイド下末梢神経ブロックなどを単独または組み合わせて、患者さんの状態や術式に応じて最適な麻酔管理を行います。
現在の麻酔科スタッフ15名(内、ICU勤務2名、外来勤務1~2名)平成26年度の麻酔科管理症例数は、4088症例で、平成25年度から79症例減少しました。本年度は麻酔科管理手術枠が月曜日から金曜日まで午前7列、午後7列となり、午前中1枠減になりましたが、減少率は1.9%でした。全手術件数は7070件で98例の減少に比較しても、効率的な手術室運営が行われたと考えています。これもひとえに各外科診療科と手術部関連各位のご厚情の賜物と考えております。
ロボット手術やハイブリッド手術室を用いた低侵襲手術がますます増加している中で、手術の複雑化と長時間化がより進む中、術前術後の速やかな対処や効率的な運用など限られた環境で患者さんの手術待機期間の短縮に対応するのはもちろん、多忙な中でも安全で快適な手術環境を整えるべく努めていきたいと思います。
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平成24年度 |
平成25年度 |
平成26年度 |
手術症例数 |
6,737人 |
7,168人 |
7,070人 |
麻酔管理症例数 |
4,037人 |
4,167人 |
4,088人 |
2.麻酔科術前外来
麻酔科術前外来は、月・水・木曜日の終日開設しています。当外来では日本麻酔科学会専門医または指導医が、各外科系診療科で手術を予定している患者さんのうち、麻酔管理上の注意が必要な方や重症の方、手術前日や当日入院を予定する方、小児の方を対象に、術前評価を実施しています。新設された術前麻酔説明ブースでは、タブレットを使用した解説ビデオの提供や、手術部看護師による低リスク患者さんの麻酔術前説明と術前評価など、術前の患者さんの負担が減り、安心して手術を受けていただけるような環境を目指しています。
平成26年度は、前年度までと比べ症例数は激減しました。休診日が多かったためと、手術日が決定している症例のみを受け付ける方針を徹底したため、あるいは手術部看護師による術前チェックを有効に利用していただいている結果と考えています。
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平成24年度 |
平成25年度 |
平成26年度 |
麻酔科術前診察患者数 |
1,242人 |
1,281人 |
914人 |
看護師術前説明 |
- |
472人 |
1,429人 |
いたみ緩和ケア科
1.外来診療
ペインクリニック外来は、火曜日と金曜日に終日開設しています。日本ペインクリニック学会認定医研修施設である当ペインクリニック外来では、治療の難しい各種の痛み(帯状疱疹痛、慢性腰下肢痛、腰椎術後、がん性疼痛など)の治療を、各種鎮痛薬による薬物治療、近赤外線照射などによる理学療法、神経ブロックなどを用いて行っています。神経ブロックでは、症状に応じて局所麻酔薬だけでなく高周波熱凝固法やアルコール等の神経破壊薬を用いたブロックも施行しています。近年では、より安全に施行するため、超音波診断装置やX線透視を積極的に使用するようになりました。 また、痛み以外でも四肢血流障害、突発性難聴、顔面神経麻痺、脳梗塞、多汗症などには神経ブロックや高気圧酸素療法などの治療法も提供しています。
平成26年度の新規患者数は、97人で、平成25年度の115人から、約16%も減少してしまいましたが、総受診件数では3335人と平成25年の2142人から大幅に増加しました。平成25年度は外来診療日が減少したことで、急減していましたが、その前の平成24年の3138人とくらべてもさらに増加となっています。引き続き、紹介患者を広く受け入れていけるような体制づくりを行いより多くの方に鎮痛サービスが提供できるよう努力してまいります。
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平成24年度 |
平成25年度 |
平成26年度 |
総受診件数 |
3,138人 |
2,142人 |
3,335人 |
新規患者数 |
114人 |
115人 |
97人 |
平成26年度 初診患者内訳 | |
帯状疱疹関連痛 |
19人 |
頭頸部、顔面痛 |
13人 |
CRPS |
2人 |
肩、上肢痛 |
23人 |
腰下肢痛 |
23人 |
がん性痛 |
7人 |
脳脊髄液減少症 |
4人 |
その他 |
31人 |
合 計 |
97人 |
2.入院診療
いたみ治療の軸足を外来診療に置いているため、当科入院での入院患者数は非常に少ないです。今年度も例年通り、入院治療を必要とした患者さんは少なく、4症例のみでした。新たなこころみとしては、緩和ケア目的での入院患者を1症例経験しています。また、硬膜外脊髄刺激電極留置のための入院も1症例ありましたので、例年よりも充実していた印象です。また、当科入院患者だけでなく各診療科から紹介を頂いた患者さんに対しては、入院中に各種神経ブロックや薬剤調整などで、介入させていただいたり、緩和ケアチームに参加して常時10人前後の患者さんの症状緩和についてサポート活動を行っています。
ペインクリニック外来の診療日も担当医も少なく患者さんにはご負担をかけることもありますが、治療期限を限った濃厚な治療を実施することで、速やかな日常生活への復帰を目標にして、患者さんのモチベーションを高め、治療結果向上につなげたいと考えています。今後は入院治療が必要となるような、より高度な神経ブロックや硬膜外脊髄刺激電極留置術、持続くも膜下ブロックなどに取り組むことで、病床稼働率も向上したいと考えています。
平成26年度入院患者一覧 | |||
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患者 |
病名 |
入院目的 |
1 |
73歳 男 |
FBSS |
脊髄刺激電極留置 |
2 |
59歳 女 |
FBSS |
神経ブロック後合併症 |
3 |
42歳 女 |
脳脊髄液減少症 |
輸液、安静保持 |
4 |
90歳 男 |
皮膚がん |
症状緩和 |