麻酔診療科群
麻酔科
1.手術部業務
平成24年度の麻酔科管理症例数は3870症例で、平成23年度の3867症例と同様の症例数となりました。麻酔科医の実数が減少しているために、麻酔科医一人あたりの担当症例数は増加しています。また、手術内容も高度化し、複雑化してきているので、1症例あたりの麻酔時間が増加しています。そのため、麻酔科医の負担も、手術数以上に増加しているのが現状です。現在は、月曜日から水曜日は、午前7列と午後6列の手術台を稼働させ、木曜日と金曜日は午前8列と午後7列を稼働させていますが、麻酔科のスタッフだけで全ての麻酔症例を管理するのには限界があると考えております。これ以上の手術数(麻酔科管理症例)の増加に対応するためには、何らかのマンパワーの確保が急務であると思われます。
平成24年度麻酔科実績
主麻酔法 |
平成23年度 |
平成24年度 |
吸入麻酔 |
1203 |
1426 |
静脈麻酔 |
1517 |
1397 |
吸入麻酔+区域・局所麻酔 |
322 |
353 |
静脈麻酔+区域・局所麻酔 |
748 |
633 |
CSEA |
51 |
45 |
硬膜外麻酔単独 |
0 |
0 |
脊髄くも膜下麻酔単独 |
19 |
14 |
伝達麻酔単独 |
1 |
0 |
その他 |
6 |
2 |
合計 |
3867 |
3870 |
2.麻酔科術前外来
麻酔科術前外来は、月、水、木曜日の終日開設しています。当外来では、各外科系診療科から紹介された麻酔管理に当たって注意が必要な患者さんや重症の患者さん、前日入院や当日入院希望の患者さん、小児の患者さんを対象に、術前評価を実施しています。また、新しい試みとして、手術部看護師による低リスク患者さんの麻酔術前説明と術前評価を、麻酔科外来で開始しました。問題は山積していますが、一つずつ解決してゆくことで、素晴らしい成果を挙げることができるのではないかと期待されます。
麻酔科術前外来受診症例数は、平成23年度が1234人で、平成24年度は1242人でした。
いたみ緩和ケア科
1.外来診療
ペインクリニック外来は、火曜日と金曜日の終日、水曜日の午前に開設しています。急性痛や慢性痛を中心に、診療科にとらわれずに「いたみ」の治療を中心とした診療を実施しています。診療は、問診と理学的診察、画像診断から「いたみ」の原因を探索しますが、慢性痛では明確な原因が存在しているのは稀です。それゆえ、問診を中心とした患者さんとの対話を中心に診療を進め、患者さんの望む日常生活レベルへの回帰を目標に、薬物療法や神経ブロック療法を中心として、物理療法やリハビリテーション、東洋医学(鍼灸、漢方)を加えた多様な治療手法で、急性と慢性痛の治療を行っております。特に、慢性痛の症状の消長には情動が大きく関与していますので、心療内科的アプローチも必要となります。そのため、将来的には、臨床心理士を加えた多面的な診療体制の構築が必要になると思われます。
平成23年度のいたみ緩和ケア外来の受診患者数は2992人で、平成24年度は3138人でした。平成24年度の初診患者さんの内訳を、以下に示します。
疾患名 |
人数 |
帯状疱疹後神経痛 |
17 |
三叉神経痛 |
10 |
がん性疼痛 |
13 |
頸肩腕症候群 |
10 |
腰背部痛 |
14 |
頭痛 |
5 |
複合性局所疼痛症候群 (CRPS) |
5 |
その他 |
40 |
合計 |
114 |
2.入院診療
近年、ペインクリニックの治療目的で入院する患者は減少しています。その理由は、当科では、疼痛患者さんを在宅で外来通院により治療することを基本としているためです。日々の生活のQOLの向上と日常生活動作の拡大を目指して、普段の生活に適応するような治療方針で臨んでいます。
しかし、複雑化した慢性疼痛患者さんや外来通院が困難な患者さんには入院治療を実施していますが、患者さんのご承諾を得た上で入院期間を限定して治療を行っています。将来的には、硬膜外刺激電極留置や視床痛に対する電気刺激療法、がん性疼痛に対する持続硬膜外投与ポート留置などを積極的に実施したいと考えております。
平成23年度入院患者さんの内訳
症例 |
病名 |
入院目的 |
84歳 女性 |
がん性疼痛 |
サドルブロック |
34歳 女性 |
術後難治性疼痛 |
薬物コントロール |
37歳 女性 |
脳脊髄液減少症 |
輸液療法、安静保持 |
74歳 男性 |
視床痛 |
薬物コントロール |
49歳 女性 |
硬膜外穿刺後頭痛 |
輸液療法、安静保持 |
34歳 女性 |
腰椎椎間板ヘルニア |
持続硬膜外ブロック |
80歳 男性 |
下肢痛 |
薬物コントロール |
75歳 男性 |
視床痛 |
電気痙攣療法、薬物コントロール |
(文責:主任診療科長 稲垣
喜三)