内視鏡室

呼吸器内視鏡部門

201210月~201310月まで1年間の呼吸器内視鏡件数は423件でした。内訳のうち最も多く施行された検査は、肺末梢病変に対する生検(主に仮想内視鏡ナビゲーションを併用した気管支腔内超音波断層法-ガイドシース:VBN併用EBUS-GS)であり254件実施しました。肺末梢生検の件数は2年前と比較し約2倍と爆発的に増加しており、我々が常々目指している、「苦痛が少なく高い診断精度を誇る最新の気管支鏡検査」がようやく軌道に乗ってきた証拠と自負しています。診断率も80%90%で推移しており、診断率向上により、気管支鏡検査依頼の紹介も院内外問わず順調に増加しています。

末梢生検以外でも156件実施し、その内訳も、直視下生検やEBUS-TBNAによる縦隔肺門リンパ節生検、AFI(蛍光内視鏡)による観察、NBI(狭帯域光)による観察、APC(アルゴンプラズマ凝固)焼灼術、気管支洗浄、気道異物除去術、気管支充填術(EWS)など多岐に渡っています。

また、20121月に新規導入した局所麻酔下胸腔鏡検査も検査件数が増加傾向にあり、本年はすでに13件実施することが出来ています。胸腔穿刺や経皮胸膜生検で診断不能であった滲出性胸水症例に対する局所麻酔下胸腔鏡を用いた壁側胸膜生検は非常に有用かつ安全であり、悪性胸膜中皮腫、結核性胸膜炎など特に診断が難しい胸膜疾患の診断精度が劇的に向上しています。

 来年は、現在使用している検査室をリフォームし、呼吸器内視鏡検査に特化した最新設備にリニューアル予定です。スペースがかなり広くなるだけではなく、透視システムや超音波観測装置を最新のものに変更し、モニターも天井吊りマルチパネルを導入するなど大規模な改修を行う予定です。

今後もこだわりを持った呼吸器内視鏡診断・治療に努めていきたいと思いますので宜しくお願い致します。

文責:呼吸器膠原病内科 小谷昌広

 

呼吸器内視鏡部門

平成24年度の消化器系内視鏡検査件数は5544件(上部消化管内視鏡3541件、下部消化管内視鏡検査1297件、小腸内視鏡27件、専用機EUS278件、EUS-FNA105件、ERCP294件、腹腔鏡2件)で内視鏡を用いた治療・処置件数は570 件(胃ESD44件・EMR3件、食道ESD23件・EMR3件、大腸EMR203件・ESD2件、消化管止血術64件、異物除去4件、ERCP系治療 117件、胃瘻造設47件、消化管拡張術60件)でした。


 

1)消化器疾患

 消化器内視鏡検査では病変の的確な診断に役立つ超音波内視鏡(内視鏡的超音波下穿刺も含む)、大腸拡大内視鏡の件数が増加しており、苦痛の少ない経鼻内視鏡、ダブルバルーン式小腸内視鏡・カプセル内視鏡(平成235月より導入)を用いた小腸検査も行っています。消化管癌の診断・治療方針決定のために、画像強調・拡大内視鏡を用い詳細な観察を行い、診断精度が向上しています。治療内視鏡では消化器系の癌、前癌病変に対する内視鏡的粘膜切除術、アルゴンプラズマ凝固法などが行われています。最近は早期食道癌・早期胃癌に対する新しい内視鏡的切除術である内視鏡的粘膜下組織剥離術(endoscopic submucosal dissection; ESD)も積極的に行っており、件数も増加しています。合併症予防のため、BISモニター、二酸化炭素送気なども用いています。その他、各種の内視鏡的治療用器具を用いて、消化管出血、消化管・胆道狭窄、消化管悪性腫瘍、消化管内異物などの治療も行っています。

以上、最新の内視鏡診療機器にて質の高い診療サービスを患者様に提供できる状況となっています。さらに、検査前の血圧測定(必要時は検査中も)、検査中の酸素飽和度、脈拍をモニターし、安全・安心な検査ができるようにしています。
 

2)胆膵疾患

平成24年度の胆膵内視鏡検査件数はERCP294件、EUSおよびEUS関連手技381件と、山陰地方でも随一の検査件数を誇っております。その理由としては、県内外を問わず、他施設にて診断・治療困難症例を多数請け負っていることが挙げられます。

当院では、切除可能な膵がんを確実に診断することに精力的に取り組んでおり、EUS-FNAと膵液細胞診を併用することによりその正診率を95.9%と、世界でもトップレベルにまで精度を高めております。

また、ERCP関連手技に関しては、胆管・膵管挿管成功率はエキスパートの基準とされる90%以上を保っており、その技術を元に内視鏡的除石術(総胆管結石・膵石)、内視鏡的膵胆道ドレナージ(胆嚢を含む)を実施し、EUS関連手技に関しては、EUSガイド下生検(EUS-FNA)はもちろんのこと、EUSガイド下嚢胞ドレナージ(EUS-CD、胆道ドレナージ(EUS-BD)、腹腔神経叢融解術(EUS-CPN)等も実施するなど、胆膵内視鏡関連の全ての手技を患者さんに還元できます。                                                 

文責:消化器内科 八島一夫、松本和也