治験管理センター

医薬品を臨床使用するには、治験を経て製造・輸入の承認が必須となるが、それに要する年月が長すぎるとの国民の批判がある。このドラッグラグを解消するに、人種差がないことを条件に海外の治験だけで承認したり、国内外の臨床実績から承認する公知申請によって承認するなどのケースが多く見受けられる。さらに、公知申請の事前評価が終了したものについては、薬事承認上は適応外であっても保険適用にするなどの策が講じられている。

 治験および製造販売後臨床試験について、新規および継続件数の推移を図1に示す。治験の新規の件数が、この数年で10件を満たさないことも稀ではなくなった。平成24年度は、治験の契約は新規が8件(29症例)で継続が17件(38症例)の計25件(67症例)であった。近年の創薬はそれまでの既存シーズではなく、蛋白の機能解析など生体メカニズムの解明結果が基になっており、簡単に治験に至ることが少なく、治験そのものが減少している。また、人口の多い都市部では対象とする症例数が多く、依頼者のアクセスも良好で効率よく治験が実施できるなど、地域においては治験の実施が難しくなっている。これらのことが、本院の治験件数が減少している要因と思われる。なお、契約した治験は医師主導治験やグローバルなものが目立つ。

 製造販売後調査の契約件数を図2に示す。限られた症例数で治験が行われ承認される新薬が多くなり、必然的に全症例で製造販売後調査が行われることが多くなった。平成24年度の使用成績調査の契約は、新規が19件(143症例)で継続が33件(279症例)、特定使用成績調査の契約は、新規が18件(61症例)で、継続が89件(373件)であった。新薬の安全性と有効性を実臨床の中で担保するものであり、契約件数は確実に毎年増え続けている。全症例調査の割合は、使用成績調査の新規契約19件のうち7件(37%)で、特定使用成績調査の新規契約件数18件のうち9件(50%)に及んでいる。契約期間も数年に及び、継続契約の件数も増え続けている。

 このような状況から、治験の推進と支援を担ってきた治験管理センターの役割は、国の推進する新たな治験活性化5か年計画の進捗と共に、変化させる時期にある。本院においても治験のみならず医師主導治験や臨床研究などに介入するなど、これまでとは違う支援体制の整備が必要となってくる。

                                                                                                                                                                  (清水英治)

 

 

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