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第四回 〝脇道〟の景色もまた楽し
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author: カニジル
description: 「カニジル」は鳥取県米子市にある「とり大病院」の広報誌です
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#keywords: 志望 (34021), 験記 (29523), 脇道 (25088), 格体 (23246), 一志 (22510), 望校 (22494), 文学 (21763), 四回 (19043), 第四 (17497), 景色 (16124), 本古 (15497), 模試 (15241), 典文 (14536), 小説 (14193), 杯目 (14130), 進路 (11702), 古典 (11368), 受験 (10755), 説家 (8810), 合格 (8553), 生徒 (7577), 素晴 (6437), 判定 (5539), 雰囲 (4045), 囲気 (4009), 立大 (3749), 高校 (3665), リキ (3656), 関心 (3501), 成功 (3367), キュ (3325), ュラ (3198)
鳥取大学医学部附属病院 広報誌 トップ NEWS ラジオ カニジル宣言 特集 連載 鳥大の人々 病院長対談 その他 最新号 バックナンバー 15杯目 14杯目 13杯目 12杯目 11杯目 10杯目 9杯目 8杯目 7杯目 6杯目 5杯目 4杯目 3杯目 2杯目 1杯目 トップ 12杯目 連載 第四回 〝脇道〟の景色もまた楽し 境港在住、駆けだし小説家の独り言 ふみ日記 第四回 〝脇道〟の景色もまた楽し 昨年夏、米子北高校で開催された読書会に、講師としてお招きいただいた。その際、参加した生徒の方に前もってアンケートに答えてもらったところ、「今一番関心があること」という質問に対し、「自分の進路」という回答があった。 進路。そりゃあ気になるよな~と頷きつつ、自身の高校時代を思い出した。ちょうど、今から10年前の話だ。 当時、私はとある国立大を志望していた。いい大学だと、かねてから聞いていたし、オープンキャンパスに行って、その街のゆったりした雰囲気も気に入っていた。関心のある分野(日本古典文学)をしっかり学べるカリキュラムも、大変魅力的だった。 だが肝心の成績は振るわず、模試では、DもしくはE判定を連発していた。ちなみにD判定は合格率30%、E判定は20%以下である。 こんな成績では受かりっこない。でも、志望校は変えたくない。 正直、何度も葛藤した。悩んで悩んで、勉強が手につかなくなりそうだった(本末転倒である!)。そんなときは決まって、先輩たちの合格体験記を読むことにしていた。 進路の手引書や、受験専門誌に載っていたそれらは、「合格」体験記と銘打っているだけあって、素晴らしい成功例が揃っていた。中には、1ヶ月で偏差値を10も20もアップさせたり、E判定から見事合格を決めたりと、大逆転を果たしている方もいた。そうした成功談を読んで「よし、私も」とやる気になったことは、言うまでもない。 その後も時々心が折れそうになったけれど、毎日必死で勉強し、センター試験当日を迎えた。毎年同じ場所で実施されているのでご存じの方も多いと思うが、会場はここ、鳥取大学の米子キャンパスだった。 当然のことながら、普段受けている模試とは、全く雰囲気が違った。だだっ広い試験場には大勢の受験者が詰め込まれ、尋常でないほどの緊張感が漂っていた。その空気に、私は完全に呑まれてしまった。早い話が、散々な出来だったのだ。 特に、数ⅠAがひどかった。ただでさえ数学が苦手なのに、今まで解いたことのないような問題が出され、頭の中が真っ白になった。結果、自己最低点を叩き出してしまった。(50点満点ならよかったのにと思うような点だった)その他の科目でも、案の定、終始慌てふためいていた。自己採点するまでもなく、志望校の合格ラインに届いていないことは明白だった。帰宅するやいなや、こう泣き叫んだことを、今でもはっきり覚えている。 「こんなんじゃ、どの大学にも行けないよ!」 それだけ大騒ぎしておきながら、どうしても諦めきれず、結局は第一志望の大学を受験した。もちろん、合格体験記のような展開にはならなかった。 だが、思わぬ縁もあった。併願していた私立大学が、たまたま拾ってくれたのだ。そうして私は、生まれ育った鳥取を離れ、京都で4年間学ぶことになった。 「自分のしたい勉強は、第一志望でなきゃできない!」と思い込んでいたが、いざ進学してみると、そうでもなかったことが判明した。むしろ、日本古典文学に関しては、志望校よりカリキュラムが充実しているくらいだった。(何と言っても『枕草子』や『源氏物語』など、日本文学史に燦然と輝く作品が数多く生まれている地だ。図書館には膨大な量の資料が揃っていたし、学べる分野も細かく分かれていた) そればかりか、大きな転機も訪れた。大学3年生の夏、文章表現を学ぶ授業を受けたことがきっかけで、小説のほんとうの面白さに気づき、作家を目指すようになったのだ。 もしあの授業を受けていなければ、もし奇跡を起こして第一志望に合格していたら、今頃作家にはなっていなかったかもしれない。無論、病院内にある書店の店長になることもなかっただろう。どちらも、「第一志望でなければだめだ」と足掻いていた頃には、とても想像できなかった未来だ。 合格体験記を書いた先輩方は、きっと大変な努力を重ね、自らの夢を叶えたのだろう。それは非常に素晴らしいことだし、爪の垢を煎じて飲ませてほしいとすら思う。 だけど、望んだ通りの道が最善だとは限らない。最初は目もくれなかった脇道にも、案外楽しい景色が広がっているかもしれない。 不合格者の声なんて、縁起でもないから受験生には読ませられないけれど、このコラムでならいいだろう。受験生のみんな、どうか気負わずに試験に臨んでほしい。そして進路に悩んでいたあの生徒さんも、「これでよかった」と、心の底から思える選択ができますように。 鈴村 ふみ 1995年、鳥取県米子市生まれ。立命館大学文学部卒業。第33回小説すばる新人賞受賞作「櫓太鼓がきこえる」(集英社)でデビュー。小説家であり、とりだい病院1階のカニジルブックストア店長。 鳥取大学医学部附属病院 広報誌 〒683-8504 鳥取県米子市西町36番地1 鳥取大学医学部附属病院 広報・企画戦略センター内「カニジル」編集部 TEL 0859-38-7039 / FAX 0859-38-6992 E-mail byouin-kouhou@med.tottori-u.ac.jp トップ NEWS ラジオ 特集 連載 最新号 バックナンバー お問い合わせ ©2016 Faculty of Medicine Tottori University. All rights reserved. ...
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