食道がんに対する光線力学的療法(PDT)~内視鏡を用いたレーザー治療~

光線力学療法 (Photodynamic Therapy : PDT)とは?

 光線力学的療法=PDT(Photodynamic Therapy)とは、がん細胞など腫瘍に集まる性質のある薬剤とレーザー光によって引き起こされる反応を利用した治療法のことです。

 腫瘍部分に照射することによって腫瘍組織を変性・壊死させます。正常な組織への影響が少なく、身体への負担が軽減された治療法として知られています。日本では2003年に早期肺癌が、また2013年に悪性脳腫瘍をにおいてPDT治療が取り入れられています。

 そして食道がんについては、2012年より医師主導治験が行われ、2015年に局所遺残再発食道がん治療における新たな選択として、PDT治療が保険収載となり、当院第2内科において平成2016年1月に1例目を施行しました。

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化学放射線療法後の食道がんサルベージ治療としてのPDTが有効

 食道がんの治療には、内視鏡治療、外科治療、化学療法、放射線療法があり、これらの治療によりがんの根治を目指します。

 最近では患者の高齢化により、外科手術が難しい症例が増加し、化学放射線治療(放射線治療と化学療法の併用)を行う機会が増えてきています。化学放射線治療は臓器・機能が温存でき、標準治療として普及しています。効果のある治療ではありますが、食道にがんが残ったり(遺残)、一旦効果があったものの再発してしまうこともあります。

 このような遺残再発食道がんに対しては、化学療法、または外科手術を行います。しかし化学療法では効果に限りがあること、また手術をする場合は癒着が起こりやすく、リスクが高まるため、それら弱点を補う治療(サルベージ治療)としてPDTが導入されました。

 PDT治療を実施できる施設は少なく、現時点で中国地方においては当院だけです。この治療は対象者が、化学放射線療法後の遺残再発食道がん患者に限られていますが、従来サルベージが困難であった患者さんに対して、がん根治への新たな一歩となるよう、普及に努めていきます。(毎週月曜日にPDT専門外来を行っています。)

 化学放射線療法後の局所再発における当科で施行したPDT症例

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