小切開心臓手術(低侵襲心臓手術、Minimally Invasive Cardiac Surgery: MICS)

 小切開心臓手術とは、文字通り5から10 cm程度の小さな傷で心臓の手術をする方法です。いろいろな方法がありますが最近注目されているのは、右の乳房の下の部分を切開する右小開胸アプローチと呼ばれるものです。この方法は、胸骨や肋骨などの骨を切開しないので、通常の胸骨正中切開アプローチや胸骨部分切開アプローチと比べて痛みが少なく、日常生活に復帰するまでの日数が短いという利点があります。通常の方法ですと退院しても数ヶ月は重いものをもたない、車の運転も控えるなどの制限をうけるのが普通ですが、右小開胸アプローチではそのようなことはありません。ただ、すべての心臓手術をこのアプローチできる訳ではなく、僧帽弁の修復術や人工弁置換術、心房中隔欠損症などの手術が今のところこの方法の対象です。また右小開胸アプローチ用の特殊な手術器具が必要ですのでどこの施設でも行っている訳ではなく全国で50施設程度です。将来はもっと多くの施設で行われるようになると思いますが、現在のところ、鳥取県西部、島根県では鳥取大学のみで行っています。

MICS図 

   通常の心臓手術の手術創    右小開胸による小切開心臓手術 

       (胸骨正中切開)