概要

放射線治療科
  •  0859-38-6180
  •  0859-38-6186

診療内容

放射線治療はほとんどの悪性腫瘍に対して何らかの形で適応となり、局所制御や症状の緩和において非常に重要な役割を果たしています。放射線治療の歴史は古く、レントゲン博士がX線を発見したその翌年から始まっており、進歩を重ねてきました。現在主となっているのはリニアックというX線を発生させる装置を使って行う外部照射であり、CT画像を用いる3次元放射線治療、及びそれをさらに進化・高精度化させた、強度変調放射線治療 (IMRT: intensity modulated radiotherapy)が主に行われています。特にIMRTは現在の放射線治療で最も重要な照射法と言っても過言ではありません。鳥取大学医学部附属病院放射線治療科では現在2台のリニアックを有しており、このIMRTに最も力をいれて診療を行っています。外部照射ではさらに、いわゆるピンポイント照射と言われるものの一つである体幹部定位放射線治療(SBRT: stereotactic body radiotherapy)があり、当院では主に早期の肺癌に対して行っています。その他には、婦人科癌に対するMRI/CTを用いた画像誘導小線源治療(IGBT: image guided brachytherapy)、前立腺癌に対するヨード線源永久刺入療法、さらには甲状腺癌を中心としたアイソトープ治療など、広い範囲で悪性腫瘍に対する治療を行っています。

鳥取大学医学部附属病院放射線治療科では、県のがん治療の成績向上に貢献すべくスタッフ一同、質の高い放射線治療を提供できるように常に心がけております。また、それと同時に患者様に安心して治療を受けていただけるよう、治療の安全性にも最大限の注意を払いつつ日々業務に励んでいます。

Varian社製 TrueBeam
2020年6月導入
Varian社製 TRILOGY
2009年3月導入 来年度更新予定

先進的医療技術

強度変調放射線治療(IMRT)

強度放射線治療(IMRT)とは、放射線の強さを複雑に変化させ、腫瘍の形状に合わせて照射を行う最新の治療技術です。腫瘍に放射線を集中させることで効果が期待でき、反対に周囲の正常組織への放射線を減らして副作用を減らすことが可能です。通常行われる放射線治療より腫瘍の形状に一致した放射線の分布を得ることができます。現時点で当院では前立腺癌、脳腫瘍、頭頸部癌等に対して積極的に行われていますが、肺癌、食道癌、婦人科腫瘍など他の疾患にも適応を拡大しています。強度変調回転照射法(VMAT: volumetric modulate arc therapy)は、IMRTの進化形であり、リニアックのガントリーを回転させながらIMRTを行うと言うものです。これまでと違い、回転照射を行うことにより時間の短縮が可能となり、より多くの患者様を治療できるようになりました。現時点ですでにVMATの経験は当科でも十分に積まれており現在のIMRTはVMATによる照射が主流です。

前立腺癌に対するIMRTの線量分布図
体幹部定位放射線治療(SBRT)

いわゆる“ピンポイント照射"です。3〜4cm以下の小さな腫瘍に対して、多方向から大線量の放射線を集中して照射する治療法です。当院では主に肺の腫瘍に行っています。原発性肺癌の場合は、転移の無い、大きさが概ね3〜4cm以下で、肺の末梢に腫瘍が存在する場合が適応となります。治療は1日1回、計4日間(月〜木)で終了し、外来通院でも可能です。効果は手術に匹敵すると考えられ、副作用が少ないのが特徴です。肺の腫瘍は呼吸による移動が問題となりますが、当院では動体追跡システムを導入しており、動きのある腫瘍に対しても正確な治療が可能です。現時点では肺癌が中心ですが、今後は肝臓癌に対するSBRT、転移性脳腫瘍に対する定位手術的照射(SRS: stereotactic radiosurgery)等の導入も検討しています。

画像誘導小線源治療(IGBT)

子宮頚癌を中心とする婦人科腫瘍の根治的放射線治療には、小線源治療(腔内照射)が必要となってくる場合が多く、外部照射との併用により、外科手術とほぼ同等の治療成績が得られることが広く知られています。小線源治療とは、イリジウムという小さな線源を用いた治療であり、アプリケーターというイリジウム線源が通る器具を子宮頚癌であれば子宮内部に挿入し、線源を遠隔操作で一時的に体内に送り込むことで、身体の内部から放射線を照射します(RALS: Remote after loading system)。小線源治療では腫瘍のすぐ近くに線源を置くことにより、一回大線量の照射によって高い抗腫瘍効果が得られるのに加え、RALSの普及により医療従事者の被曝がなくなり、安全に治療が行うことが可能となっています。小線源治療は古くからの照射法であり、当院でも長年行ってきましたが、昨年からCTまたはMRIを治療計画に用いる画像誘導小線源治療(IGBT)の導入を開始しました。そしてより高精度の治療を行うため、特にMRIを用いた先進的な治療に力を入れています。

左:Elekta社製小線源治療装置 Flexitron-HDR(左)
右:小線源治療用アプリケーター:タンデムとオボイド
子宮頚癌に対するMRIガイド下IGBTの線量分布図
前立腺癌に対する小線源治療(シード治療、放射性ヨウ素線源永久挿入療法)

前立腺癌に対して行われる治療法です。前立腺内に長さ4.5mm、直径0.8mmの小さな線源(シード)を埋め込みます。小線源治療の中でも、組織内照射に分類される方法です。埋め込んだ線源から弱い放射線が徐々に照射されて効果を出します。埋め込んだ線源はとり出されることはありませんが、日常生活や、検査等に何らかの影響を及ぼすことはありません。当院では泌尿器科と協力し、3泊4日の入院でこの治療を行っています。線源を埋め込む手術時間は約2時間で、退院後はそれまで通りの生活が可能です。本治療は低リスクの前立腺癌が治療対象となり、非常に良好な治療成績をおさめていますが、当院では高リスクの前立腺癌に対して、シード治療と外部照射にホルモン療法を加えた三者併用療法も行っています。

前立腺癌に対するシード治療の線量分布図
アイソトープ治療

放射線を出す薬剤を、服用もしくは注射をして行う治療です。鳥取大学医学部附属病院では、前立腺癌骨転移に対して行う223-Ra(ラジウム)治療や甲状腺機能亢進症や甲状腺癌に対して行う131-I(ヨウ素)内用療法を行なっています。特に甲状腺癌の治療のための131-I内用療法において薬剤はβ線とγ線を放出しており、γ線の影響を避けるために患者様は数日間の隔離が必要となってきます。当院ではそのための病室を2部屋備えています。鳥取県内の患者さんはもちろんですが、近隣県からの患者さんも広く受け入れており、年間50人程度の治療にあたっています。

左:甲状腺癌のアイソトープ治療に用いる薬剤
右:アイソトープ治療用病室

特徴的な医療機器等

  • 高精度X線治療装置(リニアック)2台
  • イリジウム線源腔内照射システム(ラルス)
  • 前立腺小線源治療システム
  • 治療計画用CT装置
  • 治療計画用X線撮影装置

外来案内

予約や紹介状無しで来院された場合、後日診察となる場合がございます。
緊急受診が必要な場合は、電話もしくはFAXでご一報いただけますと幸いです。
※土曜日・日曜日と祝日は休診です。

患者の皆様へのお願い

当院は、重症あるいは専門診療を必要とする患者さんを優先して診療することが求められている医療機関です。
当院受診を希望されます際には、かかりつけの医療機関からの診療情報をお持ちになって
受診されることをお勧めいたします。 診療情報をお持ちにならない状態で受診されますと新たに情報収集のための時間や検査が必要となり、また他の緊急を要する患者様の診療に支障を来す可能性がありますので、追加初診料が必要となりますことをご了解ください。
また、予約患者、緊急を要する方を優先しますので、相当の待ち時間が生じることもご了解ください。

セカンドオピニオンをご希望のかたは、当院セカンドオピニオン外来のページから予約申し込みをお願いします。

セカンドオピニオン外来

医療関係者の皆様へのお願い

当院への受診を患者様に勧める場合、医療福祉支援センターのFAX予約サービスのご利用をお願い申し上げます。
緊急を要する場合や予約サービスを利用できない場合には、お電話でご一報ください。

放射線治療医を目指す方へ(後期研修医・医師募集中)

鳥取大学放射線治療科では、放射線治療に興味のある後期研修医・スタッフを広く募集中です。

がん治療の一翼を担う放射線治療は、今後増々発展し、重要性が高まります。高精度治療・小線源治療・アイソトープ治療などさまざまな領域を、経験豊富な放射線治療専門医のマンツーマンの指導のもとで研修可能です。是非、放射線治療の奥深さ、やりがいを実感してください。

お問合せ

 

医師紹介

 

 診療科長 教授 吉田 賢史

助教 谷野 朋彦

医師 坂口 弘美

医師 北川 寛

詳しくはこちらへ