循環器内科
虚血性心疾患グループの研究内容
研究のための研究ではなく、日々の臨床のなかから生まれた実際的な疑問点について検討、研究するよう心がけています。現在は冠動脈分岐部への第2世代薬剤溶出性ステントの治療効果、ステント留置後の冠動脈攣縮、糖尿病治療薬であるDPP4阻害薬の動脈硬化進展阻害作用の検討、最新の冠動脈CT、MRIを用いた冠動脈疾患診断率の向上などを研究テーマとしています。また、多施設共同臨床試験や治療デバイスの市販後調査に積極的に参加することを通して、日々の臨床成績を社会に還元すべく努めております。
不整脈グループの研究内容
この数年で、不整脈診断、診療はめざましい進歩を認め、検査法、治療内容にも大きな展開がありました。その中で、不整脈学の進歩とともに数多くの問題点も浮かび上がり、チームとして様々な角度から臨床不整脈を検討すべく、実験的手法をも取り入れ研究を進めております。
診療の実際としましては、病態解析目的に、臨床心臓電気生理学検査(Electrophysiological Study :EPS)、心筋生検、Head up Tilt Testなどを行い 、治療目的には高周波カテーテルアブレーション(Radiofrequency Catheter Ablation : RFCA)、ペースメーカ植え込み術、植え込み型除細動器( ICD )植え込み術、経皮的僧帽弁交連裂開術(Percutaneous Transluminal Mitral Comissurotomy :PTMC)、2004年5月より抗心不全加療法として臨床応用された心室再同期療法(Cardiac Resynchronization Therapy : CRT )を行っております。特に心房細動根治療法としての肺静脈隔離術(PV isolation)は増加しており、2011年は164件のアブレーションのうち90件が心房細動の治療となっています。不整脈の非薬物治療ガイドライン(2011年改訂版)でもその適応は拡大しており,山陰地方で唯一の年間50例以上の心房細動アブレーションを実施している施設として、日々努力を重ねております。
学会活動としましては、日本循環器学会学術総会、日本心電学会、不整脈学会、臨床心臓電気生理研究会、アブレーション研究会、APHRSなどで数多くの演題を発表しております。
心不全・睡眠時無呼吸グループの研究内容
心不全、睡眠時無呼吸症候群を中心とした研究をおこなっております。多施設共同研究にも積極的に参加し、世界に向けた情報発信に努めております
主な研究
- 心不全再入院予防のための疾病管理プログラム
- 拡張不全における新しい診断と治療標的因子に関する研究
- 睡眠時無呼吸症候群と心血管リスク
- 心不全増悪因子に関する研究
- 高齢者心不全に対する心臓リハビリーテーションの有用性の検討
当院では多職種介入による包括的な心不全管理プログラムを作成し、実践しております。標準的な心不全治療の強化、患者家族への教育、心臓リハビリーテーションなど、包括的マネージメントの標準化により、心不全の再入院が有意に減少し、その成果を報告しております。また、現在、多施設共同研究で心不全患者に対するテレモニタリングの有用性を検討する研究にも参加しております。看護師、薬剤師、理学療法士などのコメデイカルも積極的に研究に参加しており、これまで日本循環器学会に多数その研究成果を報告しております。
- 心不全増悪因子に関する研究
心不全で入院した患者をデータベース化して(現在までに約1000症例)、疫学研究をおこなっております。再入院や死亡に関連する危険因子を検討しております。 - 拡張不全における新しい診断と治療標的因子に関する研究
人口の高齢化とともに年々増加している拡張不全に対して、心不全増悪で入院された患者さんにご協力いただき、血液、尿のサンプルを調べ新しい診断、治療標的因子に関する研究をおこなっております。 - 睡眠時無呼吸症候群と心血管リスク
睡眠時無呼吸症候群と慢性炎症および心血管リスクとの関係に関してこれまで論文、学会で報告しております。また、重症心不全患者に多い、中枢性無呼吸症候群に対してASVを急性期から積極的に導入して治療効果を研究しております。
多施設共同研究 以下の多施設共同研究に参加しております
- ATTENDレジストリー: 急性心不全の登録観察研究
- MT FUJI study: 非代償性心不全に対するトルバプタンの治療効果と長期予後に関する観察研究
- Homes HF: テレモニタリングを用いた心不全再入院予防効果を調べる介入研究
- DEMAND試験: 拡張不全に対するニフェジピンの効果をみる介入研究
- JASPER研究:拡張期心不全の実態に関する多施設共同調査研究
心臓超音波検査グループの研究内容
2012年春より3D心臓超音波検査装置(iE33 X-Matrix;PHILIPS)を導入致しました。今後症例数を増やして日常臨床などへの応用を検討しております。
また高齢者が多い鳥取県ならではと致しまして、高齢者心臓弁膜症、特に大動脈弁狭窄症の心不全に寄与する因子の研究も行っております。心不全グループとも協力し、心不全患者の入院時および退院前のエコーを行い、心不全予後因子などの検討も今後行う予定です。