内分泌代謝内科

内分泌代謝内科が取り組んでいる研究をご紹介します。

主な研究

研究

  • 人工膵臓によるインスリン抵抗性試験
  • 食事負荷試験によるインスリン分泌能評価
  • 甲状腺癌の血清診断マーカー
  • 鳥取県江府町における疫学研究
  • バセドウ眼症の血清診断マーカー

マウス膵ベータ細胞におけるアポトーシス研究

人工膵臓によるインスリン抵抗性検査について

インスリン抵抗性検査

私どもの教室では人工膵臓を用いて、インスリン抵抗性(インスリンの効きやすさ)を検査する研究を行っています。人工膵臓は、患者様の静脈内に挿入した留置針を介して、リアルタイムの連続血糖測定をもとにインスリン・グルコースを注入して目標血糖に到達させるものです。
人工膵臓を用いた検討をおこなうことで、糖代謝に重要なインスリン抵抗性を評価できるため、患者さん一人ひとりに適正な治療内容を見つけることができます。
日本人は肥満が無くともインスリン抵抗性を有するため、病態評価、治療選択の上でインスリン抵抗性の評価がとても重要となります。
このグルコースクランプ試験の結果から、薬剤のインスリン抵抗性改善作用の検討を行っています。




グルコースクランプ試験と食事負荷試験の結果と併せて、日本人に適した新規インスリン抵抗性指標の開発に取り組んでいます。
我々の研究結果から空腹時血糖とCペプチドを用いた指標がHOMA-IRよりもインスリン抵抗性指標として有効であると報告しています。
この結果はCardiovascular Diabetology誌に掲載されています。
この研究で科学研究費を4回連続、計8年間獲得しています。

20/(fasting C-peptide x fasting plasma glucose) is a simple and effective index of insulin resistance in patients with type 2 diabetes mellitus: a preliminary report
Tsuyoshi Ohkura, et al. Cardiovascular Diabetology 2013, 12:21 doi:10.1186/1475-2840-12-21




さらに、インスリンよりもCペプチドを用いた方がインスリン抵抗性を良く評価できる理由に肝インスリン分解が関与している事も報告しています。

CPR-IR is an insulin resistance index that is minimally affected by hepatic insulin clearance-A preliminary research.
Okura T, Nakamura R, Fujioka Y, Kawamoto-Kitao S, Ito Y, Matsumoto K, Shoji K, Sumi K, Matsuzawa K, Izawa S, Ueta E, Kato M, Imamura T, Taniguchi SI, Yamamoto K.
PLoS One. 2018 May 23;13(5):e0197663. doi: 10.1371/journal.pone.0197663. eCollection 2018.
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0197663


食事負荷試験による食後代謝動態研究について

私どもの教室ではテストミールによる食事負荷試験を用いて、インスリン分泌能(インスリンの出やすさ)を評価し、糖尿病の治療に役立てる試みを行っています。


日本糖尿病学会考案 テストミールA

テストミール


2型糖尿病は、血糖を下げる唯一のホルモンであるインスリンの分泌量が低下する、もしくはインスリンの効きが悪くなること(=インスリン抵抗性)が原因です。
検査食を用いて食後のインスリン反応などを詳細に評価し、薬剤の選択や効果判定に用いています。




食事負荷試験を用いたαGIの効果についての論文がDiabetology International誌に掲載されています。
「Long-term miglitol administration suppresses postprandial glucose-dependent insulinotropic polypeptide secretion」
Keisuke Sumi et al. Diabetology International, 2013
http://link.springer.com/article/10.1007/s13340-013-0116-0




DPP4阻害薬の効果を食事負荷試験で検証した論文がDiabetes Therapy誌に掲載されています。

Sitagliptin Improves the Impaired Acute Insulin Response during a Meal Tolerance Test in Japanese Patients with Type 2 Diabetes Mellitus: A Small-Scale Real-World Study.
Ohkura T, Fujioka Y, Sumi K, Nakanishi R, Shiochi H, Yamamoto N, Matsuzawa K, Izawa S, Ohkura H, Kato M, Taniguchi S, Yamamoto K.
Diabetes Ther. 2014 Jun;5(1):285-97. doi: 10.1007/s13300-014-0071-1.


食事負荷試験によるインスリン分泌能評価の有用性についての論文がJournal of Diabetes Investigation誌に掲載されています。

The Normal Meal tolerance test is preferable to the glucagon stimulation test in patients with type 2 diabetes that are not in a hyperglycemicstate: Comparison with the change of ΔCPR.
Fujioka Y, Okura T, Sumi K, Matsumoto, Shoji K, Nakamura R, Matsuzawa K, Izawa S, Kato M, Taniguchi S, Yamamoto K.
Journal of Diabetes Investigation. 9(2):274-278 2018.


甲状腺癌の血清診断マーカー(抗WDR1抗体価)

画像診断技術の普及に伴い甲状腺結節性病変の診療機会が増えていますが、甲状腺癌の診断においては有用な血清診断マーカーが存在せず、超音波検査や穿刺吸引細胞診などの所見を総合的に判断することが多いのが現状です。本研究は甲状腺未分化癌組織と同一患者の血清の反応より患者の癌免疫反応を検出するSEREX (Serological identification of antigens by recombinant expression cloning) 法によりクローニングしたWDR1 (WD repeat domain 1) に対する患者血清中の抗体価を甲状腺癌の検出に応用したものです。

本研究の結果はClinical Endoclinology誌に掲載されています。
Autoantibody against WD repeat domain 1 is a novel serological biomarker for screening of thyroid neoplasia
Shoichiro Izawa, et al.
on line version

甲状腺癌特異的抗原の産生

鳥取県江府町研究について

江府町

鳥取県江府町は岡山県との県境に位置する人口4000人程度の農村地帯です。大山の麓であり冬場には積雪の多い地域です。鳥取県江府町では脳卒中が全国平均の3倍と非常に多く、寝たきりや医療費が問題となっておりました。
鳥取大学医学部内分泌代謝内科では江府町行政、江尾診療所と共同にて江府町の脳卒中予防、糖尿病、境界型糖尿病の早期発見、介入試験を開始しています。

この地域では空腹時血糖が100mg/dl以下でも糖尿病の方が多いことを論文報告しています。

  • Lower Fasting Plasma Glucose Criteria and High Triglyceride are Effective for Screening Diabetes Mellitus in the Rural Japanese Population: The Tottori-Kofu Study.Tsuyoshi Ohkura, Rural and Remote Health Journal 2011; issue 3
    Rural and Remote Health Journal - View Article (文字化けする時はエンコード西ヨーロッパ言語を選択)
  • The Screening Criteria of Diabetes Mellitus and Impaired Glucose Tolerance of the Japanese Population in Rural Area of Japan (Tottori-Kofu Study).Tsuyoshi Ohkura, Yonago Acta medica 2009; 52:105-114 鳥取大学研究成果リポジトリ

江府町は65歳以上の高齢化率が約40%と高率な事が空腹時血糖が良好でも糖尿病となっている事の一つの原因と考えています。日本の人口統計では50年後には日本全体が65歳以上人口がちょうど現在の江府町と同じ、40%なると推測されており、江府町研究が将来の日本の超高齢化社会のモデルケースとなりうるように期待しています。

詳細は地域医療学講座のホームページを御参照下さい。
「鳥取-江府study」について: 鳥取大学医学部 地域医療学講座

バセドウ眼症の血清診断マーカー(抗UACA抗体)

バセドウ眼症はバセドウ病に高率に合併する眼症状ですが、その診断、治療には難渋することが多い、難治性の疾患です。バセドウ眼症の診断においては有用な血清診断マーカーが存在せず、症状やMRIなどで判断することが多いのが現状です。バセドウ眼症の血清マーカーが開発できれば有用な指標となりますが、我々はこれまでにバセドウ眼症に「抗UACA抗体」が高率に検出される事を報告してきました。今後、抗UACA抗体がバセドウ眼症の予測因子、予後規定因子とならないか検討を進めているところです。

Ohkura et al. Detection of the novel autoantibody (anti-UACA antibody) in patients with Graves' disease. Biochem Biophys Res Commun. 2004 Aug 20;321(2):432-40.
pub-med

マウス膵ベータ細胞 MIN6を用いたアポトーシス研究

糖尿病05 糖尿病06 細胞培養
 マウス膵ベータ細胞MIN6            アポトーシス検出

インスリン分泌膵ベータ細胞は増殖能が低く、その機能、量的維持にはアポトーシスが重要と考えられています。
分子生物学的手法を用いて膵ベータ細胞のアポトーシスを抑制する治療法を検討しています。

コエンザイムQ10による、マウス膵β細胞保護の論文がDiabetology & Metabolic Syndrome誌に掲載されています。

これはコエンザイムQ10がマウスの膵β細胞のミトコンドリアストレスによるアポトーシスを抑制するという論文です。
ミトコンドリア糖尿病にコエンザイムQ10が有効であるという臨床研究がいくつかなされていますが、その基礎的なメカニズムは不明でした。
これにより、コエンザイムQ10がミトコンドリア糖尿病に有効な基礎的な理由の一つを提示でき、また、2型糖尿病の治療の基礎的検証にもつながると考えられます。


 Coenzyme Q10 suppresses apoptosis of mouse pancreatic β-cell line MIN6.
Sumi K, Okura T, Fujioka Y, Kato M, Imamura T, Taniguchi SI, Yamamoto K.
Diabetol Metab Syndr. 2018 Jun 14;10:47. doi: 10.1186/s13098-018-0351-4. eCollection 2018.

https://dmsjournal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13098-018-0351-4

 

研究紹介
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