不整脈グループ

不整脈グループの研究内容や診療についてご紹介します。

不整脈グループでは不整脈治療、すなわち乱れた脈を正常に戻すことで、心疾患患者の心機能およびQuality of Lifeを改善することを目標として診療・研究を行っています。心臓は筋肉でできた袋であり、規則正しく膨らんだり縮んだりすることで、ポンプのように血液を送り出しています。胸に手を当てると、この規則正しい動きを触れることができます。この動きを脈と呼びます。脈の乱れとは脈が速すぎること(頻脈)、または遅すぎること(徐脈)であり、いずれもポンプとしての働きを低下させます。

不整脈の治療方法には主に

  1. 薬物投与
  2. カテーテルアブレーション治療
  3. 心臓デバイス治療(ペースメーカや植え込み型除細動器など)

の3つがあります。不整脈治療班では、薬物治療について新規薬物の開発に積極的に参加するとともに、従来の薬物の再評価のための全国研究班の一員として活動しています。

 

  図1
  図1

カテーテルアブレーション治療とはカテーテル心筋焼灼術とも言い、太さ3mm程度の細いカテーテルを心臓内に挿入し、先端から高周波を流すことで不整脈の原因となる部位を焼灼、根治する治療法です。近年、テクノロジーの向上によって不整脈治療の主役とも言うべき方法となっています。不整脈治療班では年に160例以上の心臓カテーテルアブレーション治療を行っています。図1はアブレーション治療時の様子です。図2Aは心室頻拍に対する当院でのカテーテルアブレーション治療時の心電図、図2Bはその時の透視像です。図2BでABLと示したカテーテルを不整脈起源部位に置き、先端から高周波通電を行うことで心室頻拍が停止し、以後再発を認めていません。このほか最近では心房細動に対するカテーテルアブレーションが広く行われるようになりました。図3Aは三次元マッピングシステム(CARTOⓇ)を使ったカテーテルアブレーションによって左房-肺静脈間隔離を行った時の画像です。青で示すのが左房と肺静脈であり赤またはピンクで示す点がアブレーション部位です。CARTOⓇは磁場を用いてカテーテル位置をスクリーンに表示するシステムです。CT画像と融合させることで心臓の3次元構造をあらゆる方向から確認して安全に治療を行う事ができます。最近では、冷凍アブレーションも使用可能となり、心房細動治療の選択肢が広がっています。またこれを用いることにより術時間の短縮と透視時間が飛躍的に減少することが実現できました。

図2 図3
図3 図2

心臓デバイスとはペースメーカや植え込み型除細動器など、体内に植え込まれ心臓の脈を調節する機器を意味します。これらの機器を用いた治療は近年著しい発達を認めており、致死性不整脈や心不全に対するもう一方の主役とも言うべき位置にあります。不整脈治療班では年に100例以上の心臓デバイス植え込み手術を行っています。図4Aは拡張型心筋症に合併した心室頻拍患者の胸部X線写真です。最大限の薬物治療にも関わらず心拡大を認めます。図4Bは同患者に対し両心室ペーシング機能付き植え込み型除細動器植え込み後の胸部X線写真です。患者の自覚症状は改善し、心拡大も著明な改善を認めます。このように致死性不整脈のある心不全患者について、心臓デバイス治療は必須のものとなっています。
不整脈治療班では以上のような治療をより安全により効果的に行うべく研究を進めています。

図4  
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