今後、日本の人口構成は大きく変化し、2025年には団塊の世代が後期高齢者となります。それに備えて、医療機関の機能分化や連携の推進が進められていて、日本全体が在宅医療の方向に大きく舵を切っているところでございます。 このように、在宅医療へ向けて制度や組織の変革は進んでいるのですが、家庭や地域で実際に看護サービスを担う訪問看護師の数は、今後の需要の増加に追いついていないとされています。鳥取県でも、訪問看護ステーションあたりの看護師数が少なく、若手の就業が少ないことから、今後の訪問看護を担う人材の拡充が喫緊の課題でございます。
そこで、鳥取大学医学部附属病院では、平成26年度末に在宅医療推進のための看護師育成支援事業を立ち上げ、附属病院医療スタッフ研修センターに在宅医療推進支援室を設置いたしました。そして、平成27年5月には、在宅生活志向(Home Oriented Care: HOC)の育成を基本理念に据えた3つのコースからなる「在宅医療推進のための看護師育成プログラム」を開講しました。
このプログラムは、在宅生活志向を育み訪問看護能力を強化することを目的としたもので、新人からキャリアを積んだ看護職までの幅広い層を対象にする全国的にも特色のある取り組みです。プログラムは3つのコースに別れ、それぞれ、1.若手看護師への在宅生活志向教育の充実、2.病院看護師への訪問看護体験等によるキャリア形成支援、3.訪問看護師への訪問看護能力強化支援を目的としております。
このプログラムのもう一つの特色は、受講生が現在の職場に勤務しながらでも学ぶことができ、県の補助を受けていますので無料で利用いただくことができることです。このプログラムをきっかけとして、多くの皆様が、訪問看護の道を目指し、さらにキャリアを積んで頂きますようお願い申し上げます。この事業によって地域の訪問看護が充実し、皆さまが安心して在宅医療を受けて頂くことができるようになることを期待します。