これからの日本の医療は訪問診療や訪問看護の方向へ大きく舵をきり、住み慣れた自宅で安心して暮らすことができる地域包括ケアシステムの設置やコミュニティ文化の再構築が急がれています。今後ますます、患者の退院後の生活をイメージしながら入院中からセルフケア支援ができる病院看護師、並びに在宅療養者の医療処置管理や薬剤管理などの高度な知識や技術を備えた訪問看護師が必要となっていきます。
そこで、鳥取大学医学部附属病院では、平成26年度末に在宅医療推進のための看護師育成支援事業を立ち上げ、平成27年5月には、在宅生活志向(Home Oriented Care: HOC)の育成を基本理念に据えた3つのコースからなる「在宅医療推進のための看護師育成プログラム」を開講しました。
このプログラムは、在宅生活志向を育み訪問看護能力を強化することを目的としたもので、新人からキャリアを積んだ看護職までの幅広い層を対象にする全国的にも特色のある取り組みです。プログラムは3つのコースに別れ、それぞれ、1.若手看護師への在宅生活志向教育の充実、2.病院看護師への訪問看護体験等によるキャリア形成支援、3.訪問看護師への訪問看護能力強化支援を目的としております。
このプログラムの別称は、「T - HOCナース育成プログラム」です。T は鳥取(鳥取大学)、HOC(ホック)は、Home Oriented Careの略で、「家庭や地域を志向した看護ケア」を意味する本院の造語です。この言葉には、「病院看護師と訪問看護師が協同して在宅生活志向の看護実践を行う」という事業の理念とともに、「HOCナースが地域包括ケアシステムのなかで大きく羽ばたいて活躍して欲しい」という当院の願いを込めています。