とりだい病院のとある病棟スタッフステーション前、患者Nさんの家族は1階で面会証をもらってエレベーターで病棟に上がってきた。
「Nの家族です。洗濯物を届けに来たのですが……」と声をかけようとして、一瞬戸惑った。なぜなら、色は違えど似たようなユニフォームを着た人がステーション内に何人もいるのだ。
白の半袖を着た人に紺色の半袖の人。ライトグリーンやラベンダーの服を着た人もいる。困惑した様子に気がついたスタッフが「お届け物ですね!」と声をかけた。家族はホッとしてラベンダーの女性に荷物を渡した――。なんてことはよくある光景かもしれない。
スタッフステーションには、医師や看護師の他に薬剤師や理学療法士など様々な職種のスタッフがいる。看護師と似たようなライトグリーンとラベンダーのユニフォームを着用しているのは、実は「看護補助者」だ。
とりだい病院の場合、ライトグリーンを着ている「看護補助者」は、配膳や病室内の環境整備、検査室やリハビリ室への患者移動や売店の買い物代行など入院生活に関わるお世話を担当している。一方、ラベンダーの「看護補助者」は、事務担当。入院患者に病棟内を説明したり、電話対応や病棟管理に関する補助業務を行なっている。
もともとは看護師がこれらの業務を行なっていたのだが、医療の高度化にともない、看護師は専門性を必要とする業務に専念するようになった。現在は、とりだい病院に限らず、多くの病院で、「看護補助者」が活躍している。当院でも「看護補助者」のおかげで、看護師は患者への看護を集中して行うことができている。
ここで少し看護師のユニフォームの変遷について触れたい。
看護師といえば『白衣の天使』。そのユニフォームは長らくナースキャップと白いワンピースタイプだった。転機は1990年代だった。まず、ナースキャップが衛生上の理由で廃止。その後、男性看護師の登場とともにズボンタイプも生まれた。
ところが――。それまではナースキャップに入ったラインで看護師長を見分けることができたのに、全員が同じ白衣を着用しているため、区別がつかなくなってしまった。
そこで、とりだい病院の看護部で検討した結果、ユニフォームの色で区別することになった。そして登場したのが目にも鮮やかなロイヤルブルーのユニフォームだった。
皆さんも看護師長に話がある時は、この色を着た人を探してほしい。さらに当院では、日勤は白、夜勤は紺のユニフォームを着用している。
昼と夜のユニフォームの区別は、スタッフや患者さんが一目で勤務を区別するのに役立つだけでなく、適切に業務分担が行われ残業の軽減にもつながっている。
とはいえ、何か困ったり、分からないことがあったら誰に話しかけてもかまいません。ステーションでは、必ず毎朝1回、看護師長が日勤・夜勤看護師、看護補助者を含めたミーティングを行なっている。そこで病棟の患者に関することが報告され、共有されている。チームワークによって患者の入院生活は支えられている。