本誌スタッフがこっそり聞いてきました とり大医師の㊙「英語勉強術」

取材 文・大川真紀 / イラスト・矢倉 麻祐子

英語勉強術

いきなりですが、私、編集Oは英語が大の苦手。前号、『You は何しに「とりだい」へ?』という企画で、留学生にインタビュー。インタビュー自体は英語の得意なNさんに手伝ってもらい事なきを得ました。その場は分かったふりをしてふむふむと聞いていたつけが回ったのは、録音起こし——。辞書を引きながら、必死でやったのですが、全く終わらず。英語への苦手意識が深まるばかり。ふと気がついたのは、とりだい病院の先生たちって、当たり前のように英語を話していること。どんな風に勉強したんですかー、と3人の医師に聞いてきました!



医学の世界共通語は英語

とりだい病院で英語の得意な先生の一人が、皮膚科の杉田和成准教授——。先生は英語がお得意ですよね、英語の勉強をすごくされたのですか?とたずねてみました。

「それはまあ、医師という職業は英語にたくさん触れる環境にありますからね」と杉田先生。

あれ、待てよ。そもそも医師にとっての外国語といえばドイツ語では?

調べてみると、かつてはカルテをドイツ語で書いていたこともあったようですが、今は患者さんに開示することも増え、国内で使われているのは、ほぼ日本語、時々英語。

実は医学の世界共通語は、英語なのです。

「医療技術の研究や開発、最新情報は、論文や学会などを通じて英語で世界に発信します。日本人医師も医学を学び、発信するためには、英語は避けて通れません。国際化の影響で、日々の診療で外国籍の方を診る機会も昔より増えています」

医師の通り道である医師免許取得の国家試験にも、英語問題があります。ただ、医学英語は独特。

受験英語や一般の英会話をクリアしても次に医学英語の壁に当たるとは、小児科の難波範行教授。

「ラテン語から発生しているものが多い医学用語を英語の文献で読むことを想像してください。そりゃ混乱しますよね(笑)。英語の知識だけでは読めず、専門用語の知識も必要なのです。ただ、英語の文構造は簡潔で分かりやすいので専門用語を覚えれば、ある程度は斜め読みで理解できるようになります」

英語の論文を読んで使えると思った表現は、その都度メモをとり、書き言葉のストックを増やしているとのこと。

「英文を書くときの鉄則は短く明確に。単語数はできるだけ少ない方がいいです。私の場合は内科学の教科書である『ハリソン内科学』を、原著『Harrison'sPrinciples of Internal Medicine 』で読んで医学用語や表現の語彙を増やしました」

脳神経外科の黒﨑雅道教授も論文執筆が英語上達に役立ったと振り返ります。

「『100編読むよりも一つ自分で書いてみろ。その方が勉強になる』と昔、大学教授に言われたのを今でも覚えています。確かに書くためには、多くの論文を読んで調べたり勉強したりする必要があるので、力になっていると思う。時には地道にやることも必要ですね」

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