鳥取大学医学部・附属病院で見つけた外国人に聞きました Youは何しにとりだいへ



youは何しにとりだいへ

医療の世界は国境がありません。とりだい病院(そして鳥取大学医学部)を歩いていると、外国人と出会うことも少なくありません。
そんなとりだいYouに聞いてみました。どんな国から来たの?なぜ、鳥取、そして鳥大を選んだの?米子のどこが好き?

※記事中の所属、役職名等は取材当時のものです。


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経験だと思って受けた試験から早や12年

日本に来てもう12年になるツナピさん。きっかけはギリシャ時代に当時の先生から勧められた文科省の奨学金制度だ。

「無理だろうと思ってリラックスして試験を受けたら、合格してびっくりしました(笑)」

ギリシャの大学を卒業後、訪れた鳥取は想像と違っていた。

「日本に対して、東京のようにハイテクノロジーなイメージを持っていましたが、『こんなに緑が多いの? すごくきれい』と驚きました」

自国との違いを感じることもあるという。

「日本はマイノリティの人をちゃんと大事にしている。例えば、目の見えない人のための歩道がどこにでもあったり、車椅子の人の昇降設備や駐車場もあったりする。そして、利用する人のために皆がルールを守っている」

とりだい病院では、アンドロロジー(男性不妊)を専門に研究をしており、「鳥大の人は、いつも優しいです。研究するための設備も揃っていて、不便さを感じたことはないです」と教えてくれた。

12年のほとんどを過ごしている米子市の印象を聞くと「米子はコンパクトで住みやすいですね。特に病院の近くにある湊山公園から見える中海の景色が好きです。夕暮れに、いろんな色に変化する空は、とても美しいんです」と笑顔で答えた。




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都会とか田舎とか関係なく学びたい先生がいた

内陸部モンゴルで生まれ育ったボロルマさんにとっての日本の入り口は港町、神戸だった。

「初めて日本に来たのは、2005年。学会で神戸に行き、なんて美しいところなのだと感動しました」

その後、機会を得て神戸の大学で2年間勉強した。モンゴルに帰国後、約10年仕事をしていたが、博士の学位取得のため、鳥大に留学。住み慣れた神戸ではなく、なぜ鳥大なのか。

「大学で学ぶためには、都会とか田舎とかよりも、教えてくれる教授がとっても大事。タバコ、飲酒、ネットなどの依存症研究に精通した尾崎米厚先生がいらっしゃるから、鳥大を選びました。今、学んでいる米子キャンパスは、病院と研究室の距離も近く、研究だけではなく病院でも勉強できるので便利ですね。医局の先生たちも皆さん優しいです」

大都市でもある神戸と比較して、米子をボロルマさんはどう見ているのだろう。

「鳥取には、神戸とは違う、よりリラックスした美しさがあります。静かで平和で、住むにはとてもいい場所です」

故郷のモンゴルの自慢を聞くと「ぜひ行ってほしいのは『ゴビ砂漠』。星が近くに見えてとってもきれいです。食べ物では『蒸し餃子』がおすすめです。中国の餃子と違って、牛肉ミンチとキャベツを使った餡が詰まっているんですよ」と紹介してくれた。


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家族の国へ自分のルーツを探しに

日系3世のカロリーネさん。日本を選んだ理由は、自分のルーツを求めてのことだった。

「ひいおじいちゃんが鳥取県の出身です。他の国や大学を選ぶこともできたけど、家族の国で学びたくて日本、そして鳥大を選びました」

大学卒業後、研究のため1年間の予定で大都会のブラジルサンパウロから鳥取に来た。

「来たばかりの頃は、あまり日本語ができなかったけど、みんなとても親切にしてくれました」

ブラジルとの違いについては「日本の大学生は、いつも真面目に勉強や研究をしています。ブラジルの学生は、研究室でもいつも人と話している。文化の違いですかね」と驚いたそう。昔から、ブラジル料理と日本料理のミックスしたものを作っていたというカロリーネさん。日本の食べ物で好きなのは「醤油ラーメン」なのだそう。「ブラジルではチーズ風味のモチモチとしたパン『ポン・デ・ケージョ』が美味しいです。行ってほしい場所はブラジルとアルゼンチンをまたぐ『イグアスの滝』ですね。桁違いの迫力です」と母国のおすすめも教えてくれた。




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大学同士の国際交流で選んだ鳥大

米子キャンパスは、留学生の数がそんなに多くないので、みんな友達になります。昨日もみんなで集まって、料理を作って食べたんですよ」。鳥大で学び始めてまだ2ヶ月のアグンさん。すでに国籍も年齢もさまざまな友人ができているようだ。

「鳥取に来たのは、通っていたディポネゴロ大学が鳥大と交流があったからです。日本で学ぶのは2回目で、最初は神戸の大学で心臓手術の勉強をしました」

神戸の印象があったため、米子に来てしばらくは戸惑いがあった。

「神戸はたくさんの人がいて、電車も5分おきに来る。毎日、夜8時〜9時まで歩き回っていました。鳥取は列車は1時間に数本ですし、夕方6時には、もう真っ暗。びっくりしました」

しかしそれが鳥大のいいところでもあると話す。

「静かで、勉強するにはいい環境が整っている。何より人がいい。聞けばみんな優しく教えてくれます」

同郷のウィビソノさんに、米子市のいろんなお店を教えてもらっているそう。「日本で好きな食べ物は、チャーシュー麺ときつねうどん」と答える。一方、インドネシアのおすすめの食べ物を聞くと「ジャックフルーツ」という耳慣れない単語が返ってきた。

「日本にはない果物です。熟したら甘くて美味しく食べられますよ」


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原田病院長のもとでロボット手術を学びに

私の母国インドネシアでは、大学院を修了しても医学博士の取得は難しいです。博士を取得するために、奨学金を得て日本で学ぶことにしました」。大学を選ぶとき、5年前にジャカルタの学会で出会った原田 省病院長のことが頭に浮かんだという。

「原田先生のもとでロボット手術を学びたかった。インドネシアでは行われていなかったので」

以前から東京、山口、宮崎、熊本など、旅行で何度も日本を訪れていた。「日本の印象は『おもてなし』です。『おもてなし』って素晴らしいです。例えば、医局の人たちは、ゲストに対するみたいに私たちにもとっても優しくしてくれます」と好感を持っていることを教えてくれた。

昨年11月には大山の秋のたいまつ行列に参加した。好きな場所は妻木晩田遺跡という、ウィビソノさん。ディープな鳥取を満喫しているようだ。日本の食べ物で好きなものを聞くと「生牡蠣。インドネシアでは食べないんです。あっ、この雑誌はカニジルっていう名前でしたっけ?蟹も牡蠣と同じくらいに好きです。最高。母国のお気に入りフードは『ルンダン』。ココナッツミルクやスパイスで牛肉を煮込んだスパイシーな料理です」と答えた。




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世界的に有名な教授のもとでウイルス学の研究をしたい

初めての日本で訪れたのが鳥取県だったアルフレッドさん。フィリピンとの違いをさまざまな面で実感しているのだそう。

「ダバオという都会から来たので、鳥取は静かでびっくりしました。気温も違いますね。フィリピンは暑くてここは寒い。それと日本は、何事もきちんとしていて規則正しいですね」

もともと日本が好きだったアルフレッドさん。では鳥大を選んだ理由はというと「ウイルス学専攻の景山誠二教授のもとで学びたいと思って来ました。先生はウイルス学で世界的に有名なんです。鳥大は研究室がとてもいいですね。

自分の好きな研究ができますし、何かミスをしても先生たちが支えてくれます。フィリピンの研究室は、とても厳しかったので」と語る。好きな日本の食べ物は「病院の食堂でもよく食べる醤油ラーメンです」と言う。フィリピンのおすすめを聞くと「『アドボ』という鳥肉や豚肉を酸味ある味付けで煮る家庭料理です。おすすめしたいスポットは、住んでいたダバオ。海が透き通っていてとっても美しいんです」と教えてくれた。




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学びの環境が整う鳥大がベスト

日本を選んだのは先進的な国だから。自分のなかでは夢の国なんです」。ス リランカの大学を卒業後、一般医としてブータンで2年間働いていたダワさん。その後専門性を高めようと近隣のインドやタイでテクノロジーなどを学んだが、施設が充分に整っていなかった。そんな時に海外でも有名な法医学分野教授の飯野守男先生を知った。

「東京、京都、長崎、いろんな選択肢がありましたが、先生がいる鳥大以外に行く気はありませんでした。飯野先生は、自分がここに来るための試験や奨学金を探すなど、サポートしてくださいました」

鳥大は法医学を勉強するための環境が整っていて『Ai(エーアイ)』(死亡時画像診断)など、他の国にはなかった機材も揃っている。自分にとって学ぶ環境としてここがベストです」と語ってくれた。鳥取県で生活を始めて約1年半が過ぎたダワさん。好きな日本の食べ物は丼物。母国のおすすめを聞くと「唐辛子、玉ねぎ、トマト、カレー、そしてたくさんのチーズが入った煮込み料理『エマダチ』。とても辛いけどね」と教えてくれた。