認知症予防は 40 代から 脳を鍛える とりだい流「8つの知的活動」



認知症予防は 40 代から

もの忘れやもの覚えが悪くなったと感じることはありませんか? 足腰の弱りには筋力トレーニングがあるように、脳の衰えには脳を鍛えることが必要。 認知症予防の専門家である浦上先生から正しい鍛え方を教わり、認知症予防の一歩を踏み出そう。


認知症予防は一つにこだわらず、複合的に鍛えることが重要

「脳ブーム」ともいうべき風潮が始まったのは1990年代半ば、とされている。今も脳科学者が重宝され、脳トレに関するドリル、ゲームなどは人気を保っている。しかし。脳の働きは複雑かつ、複合的であり、簡単に中を覗き込むことができない。そのため未解明な部分が多く、脳トレに関しても効果が実証されたものではない。脳トレドリルをすることで、脳の血流量が増えることは確かだが、脳の機能向上につながっているのかどうか、は不明である。

鳥取大学医学部の生体制御学教授であり、日本認知症予防学会理事長である浦上克哉は、認知症の専門家としてこう指摘する。

「認知症予防には一つのことにとらわれず、すべてを複合的に鍛えることが重要。『脳トレ』ドリルは一つのツールです。それだけやればいいというものではなく、運動や食事、読書、旅行、周りの人とのコミュニケーションなど、五感をフルに使った生活そのものが脳への刺激となり、機能維持につながります。年齢を重ねても、億劫がらずに心身を活発に動かしていくことが大切です」

さらに、認知症予防という観点から言うと―。

「短期間、集中的にやればいいというものではなく、楽しく長続きするものでなければなりません。また、トレーニングは、行う人の認知機能レベルにあわせることが前提です。一般の人と脳の病気にかかっている人とでは、機能レベルが違うので、同じ内容や量を行うべきではありません。認知症や認知症予備軍(1)の人に対して速さや量を強制すると苦痛やストレスを感じ、かえって効果は落ちてしまいます。そんなときは、病気によって弱っている機能を補強するトレーニングを重点的に行なったり、重度の場合は、機能している部分のみを鍛えたりするなど、実施者のレベルを考慮して取り組むことが重要です」
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