大人気連載!
川口和久の豪速球コラム
鳥取生活ただいま満喫中

農業 野球 地方創生 医療

川口和久の豪速球コラム
写真・中村治 構成・カニジル編集部


将来ある子どもたちに刺激を与えたい!

 このカニジルをみなさんが手に取る頃、私は年に一度の収穫に入っているはずです。

 今年の夏は非常に暑かった! 鳥取は水が豊富。水に困ることはなかったんですが、暑いと発芽が早い。収穫は例年よりも早くなりそうです。収穫後は広島県などで米を販売するイベントに参加する予定です。年内はずっとバタバタの日々が続きそうです。

 さて、さて――。

 このカニジルでも取りあげられている『とりだいフェス 2026 医療と宇宙が出会う日』では〝一日病院長〟として武中 篤病院長とフェスの会場を歩き回ってきました。

 印象に残ったのは、とりだい病院が誇る手術支援ロボット。4本のアームのうち、1本にカメラがついています。コンソールの中のモニターでその映像を見ながら、アームを動かすのです。まるでゲームをやっているような、不思議な感覚でした。

 別のブースでは、手術器具が展示されていました。プロフェッショナルな道具って、心惹かれるものがあります。医学というのは科学であると同時に、大工さんのような職人の世界でもあるのだと改めて感じました。

 普段、病院に行ったとしてもこうした裏側を見ることはできません。そこを開けっぴろげというか、一般の人に解放したとりだい病院はすごい!  武中病院長は、フェスのような〝平時〟に訪れていただき、病院に対する垣根を低くしたいともおっしゃっていました。確かに、病院を好きな人はいない。ただ、一度でも行ったことがあれば、少しでも気持ちは楽になります。

 今回のフェスの目玉でもある『バーチャル宇宙体験フェス』の会場にも足を運びました。バーチャル宇宙体験フェスは鳥取大学とも関わりが深い株式会社amulapo(アミュラポ)の運営するエンターテインメントイベント。一日病院長の特権を利用して、ぼくも『バーチャル宇宙飛行士選抜試験』(船外活動試験)を体験しました。これはゴーグルを被り、VR(仮想現実)の宇宙で〝唐揚げ〟を輪の中に入れるというゲームです。これが面白い! 夢中になってやってしまいました。

 会場にはJAXA(宇宙航空研究開発機構)のグッズや宇宙食の販売もあり、未来を感じる場所でした。集まっていた子どもの目がキラキラしている。この中から将来、宇宙に関わる人材が出てきてほしい、と思いました。

 ぼくは鳥取で生まれ、広島、東京で生活しました。鳥取は人が優しくて、食べ物が美味しい。そして海、山といった自然に触れることができる。本当にいい場所です。ただ、刺激が少ないのも事実。

 ぼくたちの野球の世界でも、東京や大阪ならば、プロ野球の試合を観に行くことはそれほど難しくない。残念ながら山陰にプロ野球球団はありません。高いレベルのプレーを自分の眼で見て、感じる機会は限られる。テレビもいいですが、生の体験に勝るものはないのです。

 ぼくは今、野球教室で日本全国を飛び回っています。ぼくの着る読売ジャイアンツのユニフォームを子どもが「これ、本物?」と聞いてくることがあります。「もちろん、本物だよ」って答えると「すごい」と目を輝かす。ぼくのを脱いで着せてあげると大喜びです。

 ぼくは子どもからサインを頼まれたときに断ることはありません。野球というスポーツに興味を持ってくれた子どもには感謝しなければならない。本当に野球が好きな子どもならばそのサインは一生物の経験になるでしょう。野球に育てられた自分たちの重要な役割だと考えています。

 将来ある子どもたちに刺激を与えたいという意味で、とりだい病院とは同じ方向であると改めて実感しました。元日本代表の長谷川アーリアジャスールさんの即席サッカー教室も見学しました。ボール一つあればいろいろできるサッカーは羨ましい!野球でも何かできないか。来年は考えます!




川口和久(かわぐち かずひさ)
元プロ野球選手(投手)・コーチ、野球解説者・タレント・農家
1959年鳥取市出身。鳥取湖南小学校で野球を始め、鳥取城北高校を経て、デュプロへ。1980年ドラフト1位で広島カープから指名を受ける。87年、89年、91年には奪三振王。1994年FAを宣言し、巨人へ移籍。1998年、現役を引退。引退後は、指導者、野球解説者の他、映画やテレビドラマにも出演。新型コロナ禍の時期、母の死をきっかけに神奈川県から鳥取にUターン。農業の他、地元の野球振興に力を注いでいる。2025年11月に鳥取大学広報アンバサダーに就任。