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写真 七咲友梨 取材・文 中原由依子


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「君もやってみたら?」

 高度救命救急センター教授の上田敬博さんの背中を押したのは、神戸・三宮にあったバーのオーナーの一言だった。

 寡黙なオーナーがターンテーブルを操り、センスのいいソウルミュージックを流す。その店を知ったのは、阪神淡路大震災の直後のことだった。

「流れてくる曲がどれも自分の好みとドンピシャで」

 上田さんは足繁く店に通うようになる。気に入った曲は、オーナーに曲名を書いてもらい、CDショップを探し回った。そして店に行くと、また新しい曲を教えられる。そんな交流を20年近く重ねるなかで、上田さんに音楽を流す側になってはどうかと勧めたのだ。

 実際にDJ機材を購入したのは、とりだい病院に赴任した2020年のことだ。当初は自分が楽しむためだったが、やがてイベント出演を依頼されるようになった。とりだい病院の高度救命救急センターは、地域の救急医療の最後の砦である。その責任者である上田さんの日常は多忙だ。そんな中でもDJ活動を行う理由がある。

「この地域って、みんなで楽しめる機会が少ないから、そういう場を増やせたらいいなと思って」

 世代ごとに好きな音楽は違う。だからこそ様々なジャンルの曲をつなぎ合わせることで、若者も年配者も一緒になって楽しみ、集える空間が作れるのではないか。

 DJをしている間は仕事のことを忘れられる。ただ「この地域を元気にしたい」という思いはいつも心の中にある。

 

上田敬博
1999年近畿大学医学部卒業。2014年兵庫医科大学医科学研究科(生体応答制御系)修了。医学博士。2020年鳥取大学医学部附属病院高度救命救急センター教授に就任。2024年病院長特別補佐(地域連携・医療のエコ活動担当)。