美ししい肌を保つことは女性の永遠の願い。美肌情報はいつも気になるものですよね。コラーゲンが含まれているといわれる食品をたくさん食べてみたり、保湿に気を使うものの、忙しくてメイクを落とさず寝てしまったりなんてことも!そんな女子のために、皮膚科 山田 七子准教授が女性医師の視点で親切丁寧に、素朴な疑問にお答えします。
ファンデーションを使うと、肌の凹凸が均一になり見た目も美しくなります。この効果とは別に紫外線から肌を守る意味でも、一役買っています。屋外に長時間素肌でいると紫外線のダメージが大きくなります。紫外線が皮膚がんのリスクを高めることを耳にされたことがあるかもしれません。紫外線は肌の老化を促進します。ファンデーションを上手く味方につければ美肌につながるいいアイテムかもしれませんね。ただし、人によっては肌に合わない場合もあるので、トラブルの際には皮膚科医に遠慮なくご相談ください。
化粧品だけでなく汗や皮脂、ほこりなど、汚れをつけたまま寝ると考えれば、当然肌にもよくないのは想像できますよね。ニキビの指導箋などにも“家に帰ったらすぐにメイクを落としましょう”と書いてあるくらいです。きちんとメイクオフすることが大切。ただし、ゴシゴシ強く洗いすぎたり、時間をかけすぎたりしないように気をつけて。クレンジングにかける時間は、1 分以内がおすすめです。
摩擦は肌を傷つけ、バリア機能の低下にもつながります。洗顔は、肌をこすりすぎないように手のひらで充分に泡立てて、泡で包み込みながら優しく洗うようにしましょう。ナイロンタオルでゴシゴシこすってしまうと茶色い色素沈着が生じる可能性もあるので注意。美顔ローラーなどは、過度のマッサージ刺激が逆効果になる場合もあるので気をつけてください。
豚足や骨付き鶏のスープ、スッポン鍋を食べた翌日にそんな感想を聞くことがありますが、人間の体はそこまで単純ではありません。コラーゲンを口から摂ると小さく分解されてアミノ酸として吸収されます。アミノ酸は体内で作られるタンパク質の材料にはなりますが、その材料すべてがそのまま皮膚を作るタンパクに利用されるとは言いきれません。皮膚にいいと言われる食材やサプリメントにこだわってそればかりを摂取するのではなく、さまざまな食物をバランスよく食べて睡眠をしっかり取るという日々のケアが一番の基本です。
皮膚の表面がガサガサしていたり、角層の表面がダメージを受けていたりすると本来皮膚に入ってこないはずのものが入りやすくなります。保湿には、皮膚が本来持っているバリア機能をサポートする効果があるのです。また、肌には細かい凹凸があり、それがキメの細かさに影響します。保湿で肌が持つバリア機能をサポートし、肌表面の凹凸(キメ)が整うと、見た目にも変化が。面倒くさがりの人は保湿対策だけでもすることをおすすめします。
保湿剤には大きく分けて二つのタイプがあります。一つは皮膚の表面に油性の膜を作って水分の蒸発を防ぐワセリンタイプ。もう一つは、水分を含みやすい物質である尿素、ヘパリン類似物質やセラミドなどのタイプです。ちなみにセラミドは私たちの皮膚でも作られる成分としても知られていますね。保湿剤は毎日継続して使うものなので、使用感も大切。不快感が少なく、皮膚がしっとりすると自分で実感できるものを選ぶといいですよ。人によっては肌に合わない商品もあるので、かゆみや刺激など、ちょっとしたことでも異常を感じた場合には使用を中止してください。必要に応じて皮膚科にもご相談くださいね。
肌トラブルは単なる肌荒れなのか皮膚の病気なのか自分では判断に迷うことも多く、内科や外科に比べると皮膚科の受診をためらう人も多いかもしれませんが、できるだけ早めにお医者さんに相談するようにしてください。症状にあわせて通院しやすい病院を選ぶことがとても大切です。まずは気軽に相談できるかかりつけの皮膚科医さんを見つけておきましょう。
皮膚科 山田七子 准教授(卒後臨床研修センター)
鳥取大学医学部を卒業。皮膚は身近でありながら奥が深く、興味を持って長く向き合えると思い、皮膚科医の道に進む。
子どもの頃から、ナイチンゲールの話がお気に入りで、ナナコ先生の原点には、人の温もりを大切にし、一人ひとりに寄り添いたいという想いがある。