誰もが悩まされる病院の待ち時間。町の内科医院ですら1〜2時間かかることも少なくない。
いつになったら自分の番が回ってくるのかとイライラした経験を持つ人も多いだろう。それが大学病院ともなると半日、下手をすれば1日仕事。体調が悪いなか「まだか、まだか」とひたすら待つのは、まさに苦行。
まず言えるのは、患者数の多さ。例えば、とりだい病院の予約患者数は1日平均1500人。初診・再診あわせてこの数だ。都市部の病院ともなれば、倍近い予約数のところもある。
当然のことながら、大学病院にかかる方は重症度や緊急度の高い患者さんも多い。「大学病院で詳しく診てもらいましょう」と他の病院から紹介されて受診するのだから1人あたりにかける診察、治療時間も自ずと長くなる。
また、入院患者さんや救急搬送される患者さんもいる。大学病院の医師はその場に赴かずとも処置の相談を受けることもある。
診察だけでなく、その前後に受けるさまざまな検査でも待ち時間が生じる。
医師は、患者さんの症状や病態に応じて検査内容を決める。そのオーダーに従って検査技師が必要な検査をする。レントゲン撮影にしても、1枚撮って「はい、終わりました」ではない。他の医療機関では見つからなかった病気や難しい治療をするための精密な検査が必要だからだ。検査結果は、画像処理や診断、分析、誤りがないかなど、綿密なチェックを経て医師の元に届けられる。だからどうしても時間がかかるのだ。
待ち時間の長さは、患者さんが苦痛なのと同様に、実は医師やスタッフもストレスを感じている。そこで、双方の負担軽減のために、各病院が喫緊の課題として待ち時間対策に乗り出している。
とりだい病院でも昨年からスタッフの配置や業務分担の見直し、混雑解消のための駐車場の立体化など、病院をあげて取り組み始めた。とはいえ、患者数が減るわけではないので、待ち時間が全くなくなるというのは無理な話。そこで、待ち時間をいかにストレスなく過ごせるかが鍵となる。
とりだい病院が独自開発した患者呼び出しアプリ『とりりんりん』。このアプリをスマートフォンにダウンロードしておくと事前に予約している再来患者さんは、駐車場など離れた場所からでも受付を済ませることができる。そして、診察時間が近づくと呼び出しのメッセージが届く。病院の半径500m以内は使用可能なので、院内のカフェやコンビニにいてもメッセージを受け取ってから移動すればいい。すでに6月から一部の診療科で試験導入。利用者の好評の声を受けて9月下旬から全科で導入されている。
診察室の前で番号表示を見上げてじっと待ち続けていた頃よりはるかに快適な待ち時間。是非このアプリをダウンロードし、利用していただきたい。