おそらく日本初!
病院内での大規模イベント開催
とりだいフェス2024
――秋もやるよ

とりだいフェス2024
写真 中村 治 取材・文 中原 由依子


2024年6月16日。とりだい病院外来棟1階を中心とした一帯で「とりだいフェス2024」が初開催された。病院をみんなの遊び場にしようというかけ声で、とりだい病院の医療を知ってもらうことを柱とし、キッズディスコ、足湯、音楽、キッチンカーとエンタメ盛りだくさんで行われた。この前代未聞のイベントに約4000人もの人々が詰めかけた(遠くは東京から‼)。笑顔と熱気に包まれた「とりだいフェス2024」を写真とともに振り返る。


とりだいDMAT

 とりだいフェスのメインステージが置かれたロビーは、普段は患者さんが受付や会計を待つ場所である。子どもたちの医師体験「とりザニア」は、総合診療外来の待合とその奥に続く外来ラウンジ。癒しのハンド&リンパマッサージは、玄関前に設置する足湯と近い場所にするため、外来入口の風除室や付近の相談室に配置。工学部辻田(勝吉)研究室は、医療福祉支援センターで体験型のブースを展開することになった。
 会場の準備は前々日の金曜日の夕方からスタート。椅子や机を撤去しフェスで使う機器やパネル、立て看板が運び込まれた。

 この前代未聞のイベントが動き始めたのは2024年1月のことだった。

 様々な部署から有志が集まった「実行委員会」で、会議を重ねていった。とりだい病院をより身近に感じて欲しい―委員の思いから、次々と企画案が出てきた。

 ただし、とりだい病院はあくまでも医療機関。フェス当日は日曜日で休診日であるが、救急の患者さんや面会者が病院にやってくる。その方たちの邪魔になってはならない。さまざまな思いで入院生活を送られている患者さんにも配慮が必要だ。こうした懸案事項が出てくるたびに、侃々諤々の議論が行われた。

 実行委員長の藤原和典教授は、一番心配していたのは「天気」だったと振り返る。

「6月はまさに梅雨時期、フェスの目玉、漫才師ダイノジさんの『キッズディスコ』の会場は、屋根のない中庭です。雨天であれば室内でというプランも用意していましたが、降らないでくれと毎日天気予報とにらめっこしてました」

 前例のないイベントであるため、どれくらい人が集まるのか、という予測も立てづらい。病院が主催の市民公開講座などは多くても参加者は数百人。そこで当初は1000人を想定した。しかし「周辺で行われているイベントに、結構来場者がきている」と実行委員の一人、杉原誉明教授から連絡があり、急遽、想定人数を3000人として内容を見直すことになった。3機種の手術ロボットマシンが見学できるツアーも「2パターン」用意。飲食スペースも増やし、警備・清掃体制も厚くしたのだ。

 迎えた当日。天気はぎりぎり梅雨入り前で朝から晴天に恵まれた。

 朝7時から音響関係、入口ゲート、テント設営が始まる。8時を過ぎるとキッチンカーや足湯用のタンクローリーも到着。ステージパフォーマンスを披露する音楽芸人こまつさん、漫才師ダイノジさん、医学生の音楽サークルのメンバーもそろった。

「無事にかつケガがないように気をつけて。我々もフェスを楽しんでいこう!」

 藤原教授の合図とともに、ボランティアを含めたスタッフがそれぞれの担当場所に向かったのだった。

 開場とともに多くの人が詰めかけ、対応が追いつかないブースもあった。それでも、とりだい病院の本物の医療にふれてほしいという思いと、楽しいことをして地域を盛り上げたいという思いは伝わったのではないかと藤原教授は目を細める。

 この日に限っては、とりだい病院はスタッフ、出演者、そして来場者を笑顔にし、楽しく酔いしれる「遊び場」になっていた。実行委員のメンバーも「夢みたいな一日だった。地域の人があんなにたくさん足を運んでくれてとても嬉しかった」(森 輝美師長)「子どもたちの笑顔が輝いていた。きっと体験したことが子どもたちの記憶にも残るはず」(植木 賢教授)と興奮が冷めやらない。

 ここまでやっちゃうとりだい病院、自慢したくなる病院(Our hospital)に一歩近づけたのではないだろうか。秋にもフェス第2弾を開催予定。乞うご期待!!

とりだいフェス2024