Tottori Breath 「とりだいフェス2024 日本初の“医療とエンタメ〟の試みに参加しませんか」



Tottori Breath

とりだい病院の市民ボランティア「とりだい病院サポーター」が去年の10月から運用本格化、外来患者のエスコートや設備の案内、広報サポートなど様々な形で病院を支えている。

これは「地域と歩み、愛され、住民と職員が、誰かに自慢したくなる病院」を合言葉に武中 篤とりだい病院長が掲げる「Our hospital(アワー・ホスピタル)」を具現化する取り組みだ。かつて、とりだい病院でボランティア活動をしていた方、定年退職した人から高校生まで登録しているという。

武中病院長は「地域とのつながりをさらに深め、同時にサポーターの活躍が病院の職員にも新しい刺激を与える。そんな存在になってもらいたい」と意義を強調する。長く構想を温めていた彼の思い入れの新しいコミュニケーション制度だけに、しっかりと根を張る大樹に育ってほしい。

とりだい病院は高度医療、急性期医療、救命救急、周産期分野、地域医療、医学研究や教育も担う医療の最先端基地だ。高度な機材や豊富な知識と経験を持つ優秀な人材も集う。そんなとりだい病院だからこそ、地域との密なつながりを大切にし、病院を知ってもらい、活用してもらわなければ、形骸的な象牙の塔となってしまう。米子出身の世界的経済学者・宇沢弘文翁が提唱した「社会的共通資本」としての〝病院〟の存在意義もそこにある。

このサポーター制度の一環として、おそらく日本初となる「医療とエンタメ」が融合するイベントを、カニジル編集長田崎健太さんととりだい病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野教授の藤原和典さんたちが企画しているという。

はじまりは田崎さんと保健学科病態検査学教授の杉原誉明さんと花火に続く何か面白いことをやりたいねという立ち話だった。

2022年、杉原さんは小児科病棟に入院し外出が難しい子どもたちに、花火をプレゼントし励まそうととりだい病院初のクラウドファンディングを実施した。このクラファンには全国から500人以上の支援が集まり、その年の7月に350発の花火を打ち上げた。昨年も支援の残金で再び花火を実施している。とりだい病院の新しい夏の風物詩となっている。

病院を身近に感じてもらうために、職員に加えて地域の人たちと一緒に楽しんでもらう楽しいイベントができないか—。二人が閃いたのが音楽フェスティバルに代表される多角的なイベント、〝フェス〟だった。

この案に目をつけたとりだい病院でサポーター制度を担当する藤原さんは、医学教育学講座教授の植木 賢さん、看護部師長の森 輝美さんたちと実行委員会を結成、「とりだいフェス 2024」の準備に邁進している。

気になる開催日は6月16日日曜。午前9時~午後5時。会場はとりだい病院内の各所。

漫才師「ダイノジ」のキッズディスコでは、大谷ノブ彦さんがDJ、大地洋輔さんのエアギターなどで子どもたちが音楽に合わせダンスを楽しむ。音楽芸人「こまつ」と女性診療科の小松宏彰講師が兄弟で登場。キーボードとトランペットの同時演奏の妙技を披露。その他、電動車椅子の体験や普段は見られない最新ロボット手術マシンの見学。白衣で子どもたちが医師体験できるエコーや内視鏡など。皆生温泉旅館組合協力の足湯とマッサージ。さらに美食キッチンカーやアート回廊のお披露目もあるそうだ。

とりだい病院の目指すアワー・ホスピタルをこの催しで体験していただければと思う。たぶん私も会場にいるはず。見つけたら声を掛けてもらえれば嬉しい。



結城豊弘
1962年鳥取県境港市生まれ。テレビプロデューサー。とりだい病院特別顧問と本誌スーパーバイザーを務める。鳥取県アドバイザリースタッフ。境港観光協会会長。