鳥取大学医学科生=医師のたまご 略して とりたまに訊け!

取材・文 井野寿音
写真 中村 治


とりたまに訊け!

2020年からの新型コロナ禍は、医療系サークルの活動に大きな影響を与えた。活動の制限が続く中、廃部の危機となったサークルの立て直しに奮闘する学生がいた。

医学科6年の大端 周は、兵庫県姫路市の高校を卒業後、現役で鳥取大学医学部に合格した。高校受験に失敗したことから、高校3年間は、保育園の頃からの憧れであった小児科医を目指し勉強に明け暮れた。

「もがきながら大きくなっていく子どもの成長を支え、寄り添える大人になりたかったんです」

入学後は『ボランティア部』に入部。指定難病である筋ジストロフィーの患者を対象にしたキャンプでのボランティアが主な活動だ。しかし、新型コロナウイルスの影響でキャンプは中止、入部してくる後輩も減り、ボランティア部は廃部の危機に直面した。

そんな中、部長となった大端が新たに始めたのが米子市角盤町にある施設『te to te』(テトテ)でのボランティア活動だった。『te to te』は地域の子どもたちのために、学校や家に加えて、もう一つの居場所として作られた施設で、遊びや勉強はもちろん、一緒に食事をとることもできる交流の場である。

そこには不登校、発達障害など様々な悩みをもつ子どもたちも集まってくる。喧嘩が起きることも多々ある。

「戸惑うこともありますが、まずはお互いの話をしっかり受け止めるようにしています。子どもたちが自分らしく社会性を育んでいけるよう常に考えています」

ボランティア部は『necote』(ネコテ)と改称し、活動の一環としてレモネードスタンドも始めた。手作りのレモネードを売り、集まったお金を小児がんの研究支援に使うというものだ。1年間の活動で集まった募金は、とりだい病院小児科病棟と『te to te』に寄付された。

部活の立て直しのために始めた活動だったが、いざ外に出てみると、街を盛り上げたい、子どもを地域で育てたいという想いを持った人々の熱意に感化されたという。

「将来はもちろん小児科に進むつもりです。サークルの名前にもあるように、子どもたちを傍で見守る“猫の手”みたいな存在になりたいです」

医学部医学科6年 大端 周さん
Instagram  necote.lemon_475