「むくみ」とは、血流の低下によって体内に余分な水分が溜まってしまった状態。 「ストレスがかかると血管が緊張してこわばって血流が悪くなるので、老廃物がきちんと回収されなくなります。 その状態が続いて疲れが溜まると、むくみの症状になって現れます。体全体はつながっているんです」 と語るのは、看護師歴29年以上の村田千恵さん。 とりだい病院の全病棟で、患者の心身のケアやマッサージの施術を行なっています。 今回は村田さんにむくみを解消する方法を伝授いただきました。 ひとりでできる簡単なマッサージのほか、日々のむくみケアのために大切なポイントもご紹介。 お仕事の合間やおやすみ前など、毎日のちょっとした時間にぜひ取り入れてくださいね!
POINT
強く圧をかけるのではなく、手のひら全体を密着させてほぐしましょう。心地良いと感じる力加減でOK!
POINT
マッサージのオイルやクリームは自分の肌質に合う使い心地が良いものを選びましょう。ただし、使用期限は必ず守りましょう。
POINT
凝り固まった部分をほぐし、末梢から中心に向かって老廃物をリンパ節へ流すという動きを意識しましょう。「ほぐして流す」はセットです!
POINT
足裏は土踏まずのあたりが膀胱、尿管、腎臓の反射区。重点的にほぐしてあげると、おしっこが出やすくなるためむくみ解消に効果アリ。
むくみは疲労が溜まっているサイン。毎日少しずつケアをすることが重要。
「疲れが溜まった状態って、汚れの溜まった部屋と同じだと思うんです。まとめて掃除するよりは、『気づいたら拭く』を習慣づけているほうが、年末の大掃除も楽になりますよね。マッサージも日常に取り入れることで、血行を促すだけでなく、身体の些細な変化に気づきやすくなり、病気を早く見つけることにもつながるんです」
そして、一日の疲れを引きずらないようにすることがむくみ予防の基本。入浴で身体を温め、充分な睡眠をとる。当たり前だからこそ心がけてほしいと村田さんは語ります。
「お風呂はシャワーで済ますのではなく、ゆっくりお湯に浸かって温まれば血流が促進されるので、むくみの解消に効果的です。ただ、熱めのお湯はヒートショック(※急激な気温の変化によって血圧が上下し、心臓や血管の疾患が起こること)を起こす可能性もあって危険なので、ぬるめのお湯からスタートして、足し湯で温めてあげると良いです」
疲れやストレスを感じる状況と、そこに必要なケアは人それぞれに違います。村田さんは趣味としてもアロマを嗜んでおり、生活には欠かせないのだといいます。
「ストレス解消できる趣味がほしいと思って『日常にアロマを取り入れませんか?』という民間のセミナーに参加してみたんです。もともとアクティブな性格ではないので、一人で好きな時にできて、香りも奥が深くて、なにより癒されるところに魅力を感じました」
同時に、悩みやストレスを抱えた患者さんのために看護師としてできることを模索していました。
「趣味の範囲ではなくきちんとした資格があれば、とりだい病院の患者さんにも施術できるのではないかと思ったんです。そこから臨床アロマセラピストの資格を取得しました。当初は産婦人科や小児科を対象にしていましたが、今では全病棟から外来まで活動の幅が広がっています」
村田さんは今日も依頼のあった患者さんのもとへ出向き、心身の回復のために尽力しています。
「患者さんの数だけ事情があります。癒されたい時はアロマの香りで癒し、むくんで足がしんどいのであれば、マッサージでケアをして。患者さんが求めているケアができるように、一人ひとりに向き合っています」
忙しさに追われていると気づかないうちに疲れは溜まっていきます。日々頑張っている自分自身を労って感謝して、自分が今なにを必要としているのか、どこが疲れているのか。疲れ果ててしまう前に心と身体に向き合って、「むくみ」のようなサインを見逃さないことが、健康維持への第一歩です。