会長あいさつ

POSTED on 2019-03-15

「多職種連携と世代交代」

このたび第24回日本災害医学会総会・学術集会にご指名いただき、大変光栄に存じます。今回の学術集会のテーマは「多職種連携と世代交代」とさせていただきました。昨年の漢字に「災」が選ばれたように、大阪北部地震、台風による暴風雨、西日本豪雨、北海道胆振東部地震など多くの災害が発生しました。急性期から慢性期に至るまで消防、警察、海上保安庁、自衛隊、行政、保健所等との連携、医療各職種の連携、各派遣チームの連携が重要です。災害の度に支援の対応の速さ、質、量が格段に進歩していると思います。世代交代に関しては、本年は天皇退位し年号もかわるという大きな節目の年でもあります。阪神淡路大震災から24年を迎え、研究会として本学会が発足した世代の方々の多くが引退を迎える時期にさしかかっています。発足時の熱意やこれまでに数多くの災害の経験・体験を後世代に伝えることは喫緊の課題であると考えました。

本学会へは656演題の応募をいただき、特別講演、教育講演、基調講演等の指定演題を含めると総演題数は751演題となりました。演題数の増加に伴い2会場、7列のセッションに加えポスター発表となりました。全ての演題内容をできるだけ多くの方々と共有するために要望演題・口演の一部とポスター発表の演者には無理をお願いして約370演題のポスターを3日間の会期中掲示していただくこととしました。1・2日目の最後には鳥取産ワインを試飲しながらポスターを閲覧できるように企画しました。

航空自衛隊美保基地のご協力により、今後広域医療搬送の主力輸送機となるC-2輸送機の見学会を設けました。また、停電時に電力が供給可能な水素自動車も鳥取県と本田技研工業・HONDAコムテックのご援助により展示することができました。

これまでの大都市での開催と異なり地方都市開催では参加者の皆様にはご不便をおかけします。米子市、境港市、安来市、松江市、出雲市で中海・宍道湖・大山圏域(*)を形成し多くの観光地や自然があります。学会のみならず、自然や歴史遺産を、多くの参加者の皆様に楽しんでいただければ幸いです。

(*)中海・宍道湖・大山圏域とは、鳥取県・島根県両県にまたがる全国で5番目に大きい湖「中海(なかうみ)」と7番目に大きい湖「宍道湖(しんじこ)」の沿岸の米子市、境港市、松江市、出雲市、安来市の5市と、中国地方の最高峰「大山(だいせん)」周辺町村で構成されるエリアです。この圏域には、ラムサール条約登録湿地「中海」「宍道湖」や国立公園「大山」、雄大な日本海など豊かな自然があり、また、日本神話の時代から連綿と続く歴史・文化も数多く残っており、観光資源も豊富な地域です。

第24回日本災害医学会総会・学術集会
会長 本間 正人
(鳥取大学医学部 器官制御外科学講座 救急・災害医学分野 教授)

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