安全で質の高い低侵襲外科治療を極める低侵襲外科センター長
谷口 文紀
低侵襲外科センターは、2011年の手術支援ロボットの導入に際し、診療科の垣根を取り払い、医師・看護師・医用工学技士・事務組織が横断的に連携し、最善の低侵襲外科治療を提供することを目的として設立されました。当センターでは関係する全ての診療科で、医療安全に配慮した統一の管理体制を構築しております。毎月2回行っている手術手技検討会では、横断的に評価・意見交換を行うことで、手術の技術と質の向上に取り組んでまいりました。このようなコンセプトに基づき、これまで7名のセンター長に引き継がれ、その間に7診療科において30術式以上の数多くのロボット手術が実施されてきました。当センターでは、組織改革による安全な手術運用のみならず、若手術者の教育・育成にも尽力し、鳥取大学のロボット手術や低侵襲外科治療の進化に貢献しています。
2025年4月までに実施されたロボット手術件数の総計は3500例を超え、現在、手術支援ロボットもダヴィンチXi、ダヴィンチX、hinotori、Hugoの3機種4台体制で稼働しております。最近では、心臓血管外科による本邦初の大動脈弁置換術も実施され、今後もさまざまな新術式の確立を目指しております。医学生を対象とした「低侵襲外科センター体験セミナー」では、最先端の医療機器を使用した模擬手術を体験する機会を設けております。
さらに2024年4月からは、鳥取大学ロボット手術研修開発センター(ToRSC)が設立され、2019年に設立された医学部臨床解剖教育研修センターと協働することにより、わが国では稀有である、ご献体によるロボット支援手術の研修が実施可能となりました。
当センターにおいては、従来の低侵襲手術の質を向上させること、新たな領域に適応する治療を拡大すること、さらに次世代を担う人材養成に注力することを目標とし、トップレベルの低侵襲手術を提供することで、永続的に社会貢献していきたいと考えております。
(2025年4月)