教授挨拶

教授挨拶

私たちの教室が目指すもの

鳥取大学医学部感覚運動医学講座耳鼻咽喉・頭頚部外科学分野教授 北野博也
 鳥取大学医学部のある米子市は鳥取県の県庁所在地である鳥取市より約100km西方、島根県の県庁所在地である松江市とは隣接しており、島根県に近い場所に位置します。医学部は米子市の中心部、中海に面した風光明媚な場所にあります。附属病院は病床数700床を越える、鳥取県最大の病院です。土地柄か、人は皆素朴であり、大学病院に対する信頼は絶大なものがあります。われわれの教室は、地域の住民の期待に応えるべく日夜努力しております。教室のモットーは、以下に述べる2点です。
 高度な医療を提供すること
 都会では医療不信があるためか、手術に対してやや消極的である傾向を感じますが、この地では医療者側が努力すれば患者の皆様は必ず信頼してくれます。その点が地方にある利点かとも考えます。そこで、われわれは年密な計画と、徹底した討論の上で、安易に妥協することなく積極的に手術を中心とした高度な治療に取り組もうと考えております。しかしながら、競争のない地方であるからとつい保守的になり、新たな挑戦を怠る傾向が見受けられます。われわれは、現状に常に満足せず、他施設とも交流を深め、最先端の医療を目指していくつもりです。
 自由な発想
 当教室は研修医から主任教授まで基本的に対等であり、教授と他の教室員との違いは責任者であるか否かの違いだけです。ですから、医局会・症例検討会・勉強会では白熱した議論が沸騰することも珍しくありません。しかしながら、手術を行う診療科である以上、決定事項に関して自らの意見と異なるからといって消極的態度を取ることは絶対に許されません。また、一歩学内から離れますと、みんな仲間であるので和気藹々大いに盛り上がります。このような自由な雰囲気が研究の上でも自由な発想を生み出す土壌となり、いつの日かこの地より大きな花が咲くことを念願して教室員一同努力しております。以下、診療・研究・教育に分け私どもの目指すものを述べます。
(診療に関して)
 私どもの科は先程も述べましたように手術を主体とした積極的な治療、最先端の治療を患者の皆様にご提供することにより、頭頸部領域疾患治療のために、他県に赴く必要のない診療体制の構築を目指しています。そのため、当科のスタッフは各地よりそれぞれの分野の専門家を招聘しました。私は、頭頸部腫瘍の外科的治療を主に担当しています。頭頸部癌の治療では、形成外科・看護師・聴覚言語療法士・薬剤師・栄養士らとのチーム医療を積極的に推進し、治療後のQOL(quality of life)の改善をはかっています。また、頸部内視鏡手術、超選択的動注療法は先進的医療として高い評価を得ています。その他、アレルギー性鼻炎に対する急速減感作療法、鼻内視鏡手術、人工内耳、睡眠時無呼吸に対する治療、頭蓋底手術などに対し積極的に取り組んでいます。
(研究に関して)
 研究は臨床に役立つ研究を行っており、研究成果が患者の皆様に還元されることを目指して行っております。具体的課題としては、頭頸部癌微小転移に関する分子生物学的研究、抗癌剤感受性に関する研究、咽頭の神経機構に関する研究、睡眠時無呼吸に関する研究、鼻アレルギーに関する分子生物学的研究などです。
(教育に関して)
 教育は卒前・卒後教育とも、よい臨床医を育てることを目的としております。卒前教育では徹底した少人数教育を行い、日夜教室員とともに行動し、きめの細かい指導を行いたいと考えております。卒後教育では、まずよき社会人となるように教育しています。また、頭頸部外科医として手術ができる医師の育成にも力を注いでおります。われわれの教室で研修を希望される方はぜひ一度お越しください。
 その他、私どもの教室に興味を持たれる方はどしどしお便りをください。お待ちしております。

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