高気圧酸素治療の基本原理は高濃度酸素による生理的作用と,加圧による物理的作用の二種類がある.
酸素は通常,赤血球と結合して全身を回っています.
しかし,赤血球が結合できる酸素の量は限られています.そのため,いくら多くの酸素を吸っても体の中の酸素は増えません.
そこで,体に圧力を加えます.体に圧力を加えると血液の中に大量の酸素が溶けることができるようになります.これで体の中に大量の酸素を取り込むことができるのです.
また,体に圧力を加えた状態だと酸素は,血液の中から組織に移動がしやすくなります.そのため,体中に酸素が行きわたるようになります.
体の中に空気などの気体が入ってしまうと血液がその先に流れなくなってしまう事があります.
そこで,圧力を加えることで気体は体積が小さくなり,血液が先に進めるようになります.
また,気体が血液に溶けやすくなるので,気体はそのまま消えてしまいます.
このように加圧によって気体の体積を小さくすることも作用の一つです.